はちみつと焼酎

BTS 방탄소년단/SUGA. 日本語訳など

D-DAY アルバム制作ビハインドwith EL CAPITXN

2023.5.2.に公開されたApple Musicの「Agust D Radio EP.3 Agust D」の(ほぼ)全訳です。1時間 30分の分量!

ゲストはプロデューサーのEL CAPITXNことチャン・イジョンさん。二人がソロアルバムD-DAYと、これまでのAgust Dの曲の制作裏話をしています。

music.apple.com

★適宜意訳しています。はっきり分からなかったところは丸めて訳してます。
中見出しは適当につけました。「♪曲名」は、その曲が流れたところです。どうしても聞き取れなかったところは「○○」にしてあります。書き起こしの元テキストは @dssr_suga さん

 

D-DAYと三部作(Haeguem,Daechwita,AMYGDALA)

ユンギ:こんにちは、皆さん。 早くも3つ目のエピソードで戻ってきた Agust Dです。

不思議なことに3つ目という言葉、ぴったりな気がするのは、やはりAgust DのD-DAYアルバムが僕が描いたトリロジーの3枚目の最後のアルバムだからではないでしょうか? 

まさか、まだアルバムを聞いてない方はいらっしゃいますか? ハッ。聞いてからまた来てください。

今まで僕の子供時代と夢、旅とロードトリップについての話だとしたら、今日は僕のアルバムとAgust Dについて話してみようと思います

そして今日は僕一人ではありません。 よりご期待ください。

最初の曲を紹介する前に、なぜトリロジーにしたか気になる方に少し説明すると、このアルバムは、ミックステープの形で発表した「Agust D」…D1と言いますね、とD2に続いて 3番目の話を盛り込んだアルバムです。

D1の時、すごく怒りに満ちていて腹を立てていた…体に「毒」がいっぱいの状態で作ったアルバムで、すごく… 聞きづらい方もいたと思います。 あまりにも生々しい話が多くて。 それがD2では少し精製されました。そんな否定的な考え、僕のトラウマから解放、それでD-DAY。

初めてD1を製作する時、果たしてD-DAYまで出すことができるのか、一つ出して、次のは出せるのかと悩みました。 幸いなことにトリロジーを完結させることができました。あくまでこの3部作としての企画が最後であって、Agust Dが最後ではないんですよ? 

とにかく…そうなりました。とにかく「Dシリーズ」はこれで終わりそうです。

タイトル曲の「Haeguem」についてお話ししますと、「大吹打」を完成させた時に「Haeguem」のビートを作りました。ずっと後に、そろそろ次のを出すタイミングだと思って聞いてみたら、良いな、これでやろうと。

それに前からインタビューとかでお話ししてますけど、「見る」音楽の時代なので、MVのことを当然考えていて。MV関連のシナリオ、コンテを3年前に書いておいたものがありました。「大吹打」と一緒にシリーズにしようと思って。 

それでタイトル曲に選びました。タイトル曲になりそうな曲がほかにも何曲かあるんですが、「Haeguem」で行くことになりました。では、タイトル曲の「Haeguem」です。Let's go.

♪Haeguem

ユンギ:最初にお話ししたように今日はAgustDについてのお話をします。最初にAgust Dでミックステープを出したとき、Agust Dとしてやりたかった音楽、伝えたかったメッセージについてお話しします。 

実は何も考えずに「Cypher Pt. 3 Killer」という曲で「♪SUGA a.k.a.AGUST D、二つ目の名前」と、そこから出発しました。フフ。
正確な発音は…「エイゴストディー」とか「アゴストディー」と言いますが、僕は「オゴストディー(어거스트 디)」とします。 みなさんも「ステファン・カリー」と「スティーブン・カリー」。本人が「ステファン・カリー」だと名乗ればそう呼びますよね。理由は省略してください。

トリロジーの話をもう少ししてみると、ただこういう3部作を出す頃には、僕の中の毒がたくさん抜けているんだろうな、と思ったんです。

それから最初のシリーズがうまくいけば2番目のシリーズが出るように、2番目がうまくいけば3番目が出る…「ダークナイト」方式で行ったわけなんです。 

メッセージとしての過去の話はD1、D2、D-DAYを通じてほぼ全部したようで、これから少し毒が抜けた音楽をしなければなりませんけど、果たして僕にできるだろうか? まあそれは遠い未来の僕に任せます 。

D-DAYは解放です。 私たちの悩み、心配、不安、憂鬱、いろんな複合的な否定的な感情から解放される日。 過去は過去に過ぎず、現在は現在なだけ、未来はただ未来なだけ。私たちはより現在に集中し、自分自身に集中して。他人の顔色を伺わずに。そういうものから解放される日です。
D-DAYを聞いた瞬間からあなたは他人の目を気にしなくなります…D-DAYを聞いたあなたは、自分を愛するようになるでしょう。

それではトリロジーを始める「Daechwita」を一緒に聞きましょう。

♪Daechwita

ユンギ:MVの話をしてみましょうさあ皆さん。今回新たに公開された3つのMVはどうでしたか?

「People Pt,2」は先行公開なので力をすーっと抜いた、メイキングのような感じでいきました。「Haeguem」は…3年前だと話したじゃないですか。すでに3年前にできていて、それを 撮って録音するのに3年かかった。「大吹打」は時代劇と現代、キャラクターがすべて違うのでそう感じるでしょうが、「大吹打」「Haeguem」「AMYGDALA」は僕が言いたい3部作の姿がよく盛り込まれたMVです。 

特に「大吹打」はMVが話題になったし、そのシリーズでもう一度やってみようと。傷痕が治った僕が出てくるし、傷痕のない僕が出ますよね。それを注意深く見てください。

「AMYGDALA」のMVは、もっと…その…もっと…少し実話に基づいてみようと思ったんですが、ディテールが全部同じではありません、僕の過去と。でも そういう場面を入れようとした。

多くの人がショックを受けるかもしれない。でも、僕はすでに全部克服した。僕はすでにD-DAYに入っている、 新しい出発、 新しい人間になったんです。

こうお話しすると、MVもう一度見たくなりますよね?たくさん見て下さい。MV、本当に力を注いで作りました。

いま僕がお話ししたことを思い浮かべてまたトリロジーの順番通りにMVを見ると、また違った、もっと面白く見れると思います。

では、トリロジーのなかで○○を担当している「AMYGDALA」、聞いて下さい。

♪AMYGDALA

Agust Dを語るときに欠かせないEL CAPITXN (Daechwita)

ユンギ:みなさんはいまAgust Dのラジオをお聞きです。トリロジーの三曲を全てお聴かせしました。いかがです?良いでしょう?

さて、Agust Dの道のりをお話しするときに、絶対外せない人が一人います。今回のエピソードではその方と音楽についてもっといろんな話をしたいと思い特別にお招きしました。

EL CAPITXNとして活動するチャン・イジョンさん。こんにちは。挨拶をお願いします。

イジョン:はい、こんにちは。プロデューサーのEL CAPITXN、チャン・イジョンです。

ユンギ:わあ、イジョンさんは実は昔歌手でしたよね。公開ラジオにもたくさん出演されたと思いますけど、いつぶりですか、ラジオは。

イジョン:あ~。…ほんとに考えつかないほどあまりにも久しぶりで。それからチャン・イジョンじゃなくEL CAPITXNとして、プロデューサーとして公式にごあいさつするのは初めてですごく心配ですし、SUGAさんとこうやってラジオをやったことはないので、昨日すごく心配していました。

ユンギ:心配って、放送が初めてでもないのに。何年のデビューですか、イジョンさん。

イジョン:僕もBTSと同じ2013年デビュー(笑)

ユンギ:僕はチャン・イジョンという友達を、いつだったかな、2015,16年ごろだったと思うけど、イジョンはもう歌手としての活動はやめていた状況で、僕の友達を通じて会った覚えがあります。

最初会ったとき、いきなり僕にデモ曲を聞かせてくれた…デモ曲たちを…。僕は実はその当時は聞いて、ああ…少し未熟だなと(笑)。でもデモを会社に持って行けば使うかも、それは会社の判断だと。そう言った記憶があります。 
イジョンさん、最初に会ったとき、人間ミン・ユンギの第一印象は? 

イジョン:あのとき、僕の記憶では僕たちが平壌冷麺屋さんで 初めて会ったじゃないですか。

ユンギ:ああ、そうですね。平壌冷麺にハマってた時でした。

イジョン:僕が平壌冷麺を初めて食べたんですけど……ちょっとそんな感じ。その時、すごく慣れなない感じ。テレビ局で行ったり来たりしながら見てましたけど、そんな風にプライベートで会って…… 第一印象はすごく…正直良くなかったと思います(笑)。

ユンギ:いつもそうなんですよ。 否定しません。僕はいつも第一印象がそんなに良くないんだよ。何度か会えば、この子はそういう子なんだなって分かるけど。

それからその当時、知っておいて欲しいのは、2015、16年なら「地獄から生き返ったBTS」。世の中の無数の攻撃を受けて生きていた時だから、今とは印象が全然違う。その時僕がすごく尖ってた。ほんとに。それは否定しないよ.… D-DAYで僕は毒気を抜いて生まれ変わったんだって。

それでイジョンと一緒に、僕たちの曲を一つやってみようと、こんなスタイルでビート作ってみてって言って作ったのが「Ddaeng」でした。 名曲ですよね。

その時分かったんだ、この子が本当に上手だなって。となりで少しガイドしてあげて「こんな風にしてみれば」と言えば、黙々と全部やり遂げる。僕にはそんなイメージです。

チャン・イジョンさんにとっては、ミン・ユンギ、 どんなミュージシャンですか。

イジョン:ミン・ユンギ…。とりあえずは僕の友達であるミン・ユンギでもありますが、アーティストのSUGAは、何というか休まない人? そんな感じがすごく強いです。

何年も見てきたけど、毎日「曲が出ない、大変だ、できない」って文句を言ってる時が多いけど、それを続けて完成させてしまう人。そう思います。

ユンギ:僕はイジョンとこうやって長い間一緒にやってる一番の理由は、黙々とするところ。地道さ。 僕はそういうミュージシャンたちが 好きなんだと思います。

ものすごい天賦の才能で、数多くの名曲を生み出すミュージシャンもいるだろうけど、僕たちみたいに「それなり」の人たちは、たくさん作業しないといけないんだ。

これを聞いてる多くのミュージシャンの人たちは…多くいるかどうかはわからないね、ファンの中にミュージシャンの人も少しはいるだろうけど、たくさん作業しないといけない。それが結局自分を助けるんですよ。未来の自分が「なんで曲を作っておかなかったんだ!」って叫ぶ前にたくさん作曲しておいてください。

一緒に作業したものが多すぎて、 どんな曲をおすすめするか分からないんですが、 イジョンが、Agust Dといえば思うかべたり、プロデュースした曲の中で「わーこれは」ってすごく大切だと思う曲は?

イジョン:僕はやっぱり、「大吹打」じゃないかな。 

ユンギ:これでビルボード作曲家になっちゃったもんね。ビルボードHOT100に入った作曲家、EL CAPITXN!

イジョン:まずこの曲を作曲するときに、音楽的なアプローチもすごく独特だったし、韓国の国楽とヒップホップをミックスする方式だから、ややもすれば国楽でもない、ヒップホップでもない、なにか中途半端な曲になる可能性があって、すごくプレッシャーがあったんだけど、それだけに面白かった。

ユンギ:僕たち一週間ほぼ一緒に暮らしながら 作業しなかった? 僕の家に住みながら、僕がスケッチして送ると、ディベロップさせたのをもらって、歌詞とフックを書いて。 それで「こうやんなきゃ」「ケンガリ追加して」「何か入れなきゃ」…って。僕は要求事項がちょっと多いんです(笑)。

そのときはMVまでフルに一セットで作った。それからその時すごく話題になりました。リアルタイム検索ワード1位に「大吹打」、2位がAgust Dだった記憶があります。
あと、国楽だから…僕たちが意図して国楽をしようとしたのではなくて、こんなテーマがあるけど、すごく面白いんじゃない?と思ってやったんです。

大吹打の作業の様子、もっと話して下さい。

イジョン:僕が?

ユンギ:ほかに誰がいるの?(笑)

イジョン:いや、もうほとんど話したと思いますけど、もう少し詳しくお話すると、SUGAが、元々の既存の大吹打をぱっと投げてきて「これで作ろう」というところから始まって。
何かすごく悩んだんですけど、これは別々にオンラインで作業しちゃダメだと思って、会おうと。SUGAさんの家に小さな部屋が一つあるんですけど。そこで…

ユンギ:大きいよ~あの部屋。小さい部屋って言うから借家一つあげたみたいじゃん。大きいって。

イジョン:はいはい、大きいですね(笑)。その部屋に僕の装備をセットして。そうやってユンギさんは別の部屋で作業して、僕は僕の部屋で作業して。そうやって行ったり来たりしながら、ずっと過ごしながら作業したんですよね。

ユンギ:面白かったことの一つが、僕たちがすごくディテールにソースをたくさん使ったんけど、全部完全に伝統楽器じゃなくて、あれこれ混ぜてやって。リズムを追加しながらああだこうだとすごく楽しく作業した記憶が僕にもあります。
ああ、あの時、頭がもっとくるくる良く回ってたと思う。 僕たち、いまはちょっと目を覚ます必要があるなあ。 一緒に長くやりすぎたかな?(笑)

♪D-DAY

ソングキャンプで見たミュージシャン・SUGA (Dear My Friend

ユンギ:ではプロデューサー、チャン・イジョンをお招きしたので、僕たちが一緒に作業した話をお聞かせしようと思います。

D-DAYの作業で何か思い浮かぶことってありますか?今回9曲を一緒にやりましたよね。

イジョン:僕は8曲ですよ。

ユンギ:そうだっけ?なんで8曲なんだ?「D-DAY」はしなかったよな…ああ、「Haeguem」は僕が一人だからか。8曲一緒にやったんだ。

8曲の作業を通して、ミュージシャンAgust Dはどんな人でしたか。

イジョン:Agust D…うーん、今回のAgust Dのドキュメンタリーにも出ますけど、僕たちが平昌にソングキャンプに行ったじゃないですか。 数日間、ほんとに寝る時間以外に ずーっと作業をしていたと思います。 

ユンギ:20数曲書いたね。
イジョン:最初は、ユンギが「遊びに行こう」って言うから「面白そうだな」って(笑)

ユンギ: まるで悪徳業者みたいになるじゃん~

イジョン:「でも装備は持って来い」って。「遊びに行くけど、装備があればいいじゃん」って。それで行ったんですけど、2泊3日、ご飯を食べて作業して、お酒を飲んで作業して…(笑)。
正直、僕がそこで感じたのは、僕がSUGAくらいの位置に立っていたら、僕はそんなに情熱的になれないんじゃないかとすごく思いました。 ずっと音楽のために行動して考え、あえて多くのストレスを自分に与えて。すごくリスペクトできるきっかけになった…。

ユンギ:僕はほかに特に趣味がなくて。イジョンと友達だからゲームもしてみたけど、ほかにも色々。でも二人ともゲームの才能がなくて、いつも負けてたんです(笑)。

それで、もうゲームはやめて。それにいくら考えても、音楽を作ることほど面白いものがないんでですよ。

ほんとに本人も多作なプロデューサー、ミュージシャンなので、そこを本当にリスペクトしてるんだけど。ある程度ヒット曲があるのに…。そういう人って曲をあんまり書かないんですよ。どうしてなのか知らないけど。

僕もD1をした時のように、すべてのビートを僕がいちいち最初から作業する時間、余裕がないので、アイデアとかスケッチを渡すとそれを具体化してくれる友達がイジョンです。それをまた僕が修正して、一緒にソースも付けてみたり、テーマも作って。それで制作する上でのなんというか共同体のような感じ、一つのチームになったんです。 
僕はイジョンという人がそういう面で、変わらず 頑張ってくれてるので一緒に作業するとすごく楽です 。
イジョンが寝たら僕が作業して、 僕が寝たらイジョンがやって、ライフスタイルがそうなっちゃった。そうやってたくさん作業しました。

さあ、もう一曲、その次に愛する曲を紹介して下さい。

イジョン:全部の曲を愛していますが、僕は「Dear My Friend」を聞くたびに、なんだか胸の片隅に触れる感じがします。

ユンギ:これのビハインドお話しします。まだ覚えてる。あれは僕たちがヤンジンプラザにいる時でした。

二人でいろんな音を出してできた曲が2つあったんですが、一つがHeizeさんの「We don't talk together」、一つが「Dear My Friend」でした。だからすごく昔のですよ。6、7年前に作った。
Dear My Friend」は曲がすごく長いんです。5、6分あるのかな。幼い頃僕がX JAPANが大好きだったんですけど、公演が終わってからアウトロが20分ぐらいあるんですよ(笑)。それでそんな感じにしたらどうかなと思って。

感じが似ているのが、D1の時は「So Far Away」 、D-2では「Dear My Friend」 D-DAYには「Snooze」。僕たちが得意な質感があるんです。

あ~俺たちコード進行いろいろやってみなきゃ。全部演奏できちゃう。コード一つで進行したら。

僕たちが得意なその質感で、バンドサウンドを加味した曲。そんな曲でした。聞いてみましょう。

Dear My Friend

ユンギ:Dear My Friend」。やはりさすが「Dをよく知る」チャン・イジョンさんを迎えてお送りしています。

D-DAYもD-DAYですが D1、D2の話をしない訳にはいきません。 D1の時はイジョンが参加してませんね。 D2の時、何をしたっけ? 「大吹打」のほかに?「Moonlight」も部分的にやったし。

イジョン:ええ、ちょっとずついろいろ参加しています。

ユンギ:その時は色んなプロデューサーと やってたんだけど、他のプロデューサーとあまり親しくなくて、今回のはチャン・イジョンと。 
実際、一番楽なんです。僕が渡して「こうやって」って言ったら、そのままやってくれて、こいつが詰まって出てこなかったら、「何が難しいんだよ~」って言いながら僕がやって。そういうやり取りが良いんだよ。

「最後の叫び」のようなアルバム(Snooze,AMYGDALA, Life Goes On)

ユンギ:D-DAYの話をもう少ししてみましょう。どんなアルバムですか?

イジョン:SUGAさんはどういうアルバムだと思いますか? 

ユンギ: 僕は、何か仕上げをする、整理する。 D-DAYというのがあるプロジェクトの終わりでもあるけど、新しい始まりでもあるじゃないですか。ほかのプロジェクトの始まりでもあるから。

それで僕は作業をしながら、 いつにも増して考えが多くなった…。
D-2もしんどかったし、バンタンのも大変ではあるけど、特に今回のD-DAYを作りながら、 僕が何を話せばいいのか分からないってことをたくさん話した気がする。それですごく…。

さっきちょっと言った「Snooze」は僕が入院しながら書いた曲。そのときは、体が急激にストレスを受けて悪くなる状況で、入院して、坂本龍一先生のドキュメンタリーを見ている途中で「あ、こういう進行、こんなスタイルで曲を一曲やりたい」って。 

特にリファレンスもなかったけど、イジョンに「こういう雰囲気、こういうテンポのビートを一つ作って送ってみて」って。そしたら 僕が作業をここでやるよって。

その当時10曲中の3曲くらいが空いていたけど、ビートをもらって その日に全部書きました。メロディー部分以外で。

やっぱりこう、急拵えでこその何かが。

イジョン:いきなりなのが上手くいく。

ユンギ:急に「これやろうか?OK,レッツゴー」でその日に全部書いちゃって、こういうのたくさんあるよね。
実は今になって出てきたけど、D-DAYに入ってる曲は、以前に作業したものが結構あるんです。「Snooze」は新しい曲だけど。
「AMYGDALA」もD2を終えてばーっと。 バース2以外は全部書いておいたし。 

これも「イジョン、こんなムードでやってみようか?」って。それでその日にメロディーを作った。

だからほかの人は新曲だと感じるけど、僕たちは3年間聞いたから、あまりに長く聞いてるからもう判断できないんだよ。どうするこれ?って。「People pt.2」も「SDL」も3年前に作業したもの。 

ソースだけトレンディなものに変えて進行したのが多かった。「Haeguem」も同じだし。

そうやってあれこれ作って。「Life Goes On」は僕のバージョンが大好きだったので、イジョンに編曲を任せました 。

全部面白かった。D-DAYの作業自体が。でも実際に振り返ってみると、終わったから面白かったんであって、当時は地獄だったよ〜本当に地獄だった。

イジョン:確かに(笑)

ユンギ:元々、僕たちが去年11月に出そうとしてたんです。急いで作業していて、僕が「できない。できそうにない。やめよう。延ばそう」って言って、延期しました.. 。そんな事情のあるアルバムです。

イジョン: D-DAYアルバムは、僕が一言で感じたことを整理するなら、なんというかAgust Dとしての最後の叫びのような感じをたくさん受けました。

アルバム Agust Dの時は毒気があふれて吐き出したものだったとすれば、D-2からD-DAYに移るほど冷たく、むしろ冷静に、あるシステムや、人と愛について考察する感じをすごく受けました。
だから僕もSUGAさんのメッセージに合わせて作業をしようと努力したし、Agust Dのメッセージがファンのみなさんにしっかり伝わればと思います。

ユンギ:イジョンが)隣でたくさん苦労しました。僕が以前のようにA to Zでビートを全て作ることができないのは、本当に時間と余裕がないからで、できないからじゃないんですよ。でも隣で本当に僕の半分になって、イジョンがその半分をしっかり埋めてくれているので、こんなに楽なことはありません。 
それからこの人と僕の長所は、すべてのジャンルを書けるということ。
ただし、名人ではない(笑)。作り方は知っている。適切に味だけ、香りだけ加えるそんな感じで。お互いにその足りない部分を認めて始めるんです。

イジョン:そうそう。認めます。 

ユンギ:会って作業することは思ったよりないし、どうする? やりたいことはないか?ってお互いに話しながら始めて···。
特にD-DAYのアルバムでは攻撃的なメッセージや強力なラップは、実際は前半の1、2、3番まででおしまいで、すごく柔らかいんです、アルバム自体が。 それで僕も作り終わってから聞いてみたら、D1,D-2と全部聞いたんですけど、思ったより前の三曲を除いてはラップをダダダってしているところがなくて、僕も少し違う感じのアルバムではあります。

その代わりに、たくさん歌ってます、今回。

イジョン:歌が上手い。 なんで上手くなったんだろう?

ユンギ:上手くなっちゃいけないの~?(笑)

イジョン:どうして上手くなったのか僕はよく分からない(笑)

ユンギ:練習をたくさんしました。 一度レッスンを4回くらい受けたんですけど、 どうしてもレッスンは僕のスタイルじゃないんだよ。

それでとにかくたくさん、あれこれやりました。それで、僕の歌い方というのが生まれたんです。 ラップの発声と歌の発声が違うじゃないですか。ラップはしっかり掴んで弾かないといけないし、 歌は引っ張っていかないといけない発声だから、そこに対する理解がなかったんだ。 

音域が、僕が使えるのに書けなかったものが多かったんです。 今回、みなさんが思ったより驚くのが「Life Goes On」での僕のボーカル。
今もライブ現場で聞くとまた違います、声が。 すでにBTSの「Life Goes On」が出た時に録音したものなので、音源では少し何というかまだ洗練されていないトーンで聞こえるかもしれません。それもまた一つの痕跡だと思っているので、再録音をしようか悩んだんですけど、上手すぎるのはおかしいと思って。 ちょっと生の、それからこの当時作業したということを知らせたいとも思ったし。

それで色んな曲で歌いましたが、その過程でチャン・イジョンっていう友だちがたくさん助けてくれた。

色んな曲の話をしていますが、僕たちにとって最大の敵は「AMYGDALA」でした。「AMYGDALA」の話をして下さい。制作過程。

イジョン:はっきりした記憶はないんです。 ずいぶん前のことだから。 でも「AMYGDALA」と聞くと息が詰まる感じはいつもある(笑)。

ユンギ:ビハインドを話すと、これ元々チーム曲にしようとしてたんです。 チーム曲だったらパフォーマンスが かっこよかったと思うし、 それで息を吸う区間がないんだよ。 歌のキーもすごく高いです。

イジョン:だから、なんでそんなに高くしたの。

ユンギ:僕はメンバーたちが歌うんだと思ったから高く作ったんだけど…。メロディーとラップと一緒に作っておいて、あとでキーをメンバーに合わせて上げたときに声が出なくなるから、最初から高くしておこうと思って。

それでいまライブの準備をしながら数多くの挫折と…一体いつ息をしなければならないのか、果たして僕は息ができるのか…。

それで練習をしながら、ライブの時は半キーを下げてやることになりました。半キー下げた「AMYGDALA」がお守りになりました。 全然大変じゃないです。今日も練習しましたけど。

いま練習を3時間してきた声です。何だか(扉が)開いたみたい発声が。(歌が)すごいことになってるよ。

イジョン:これからも歌を歌い続けるんですか?

ユンギ:僕はラップを17-8年くらいやってきたけど、 歌に対する魅力を確かに感じてると思います。僕のトーンが変わったのが不思議だったんだ。

なので歌はこれからも歌う予定です。もちろんチームでやる時は難しいかもしれません。 なぜなら歌が上手なメンバーがとても多いから。

でも僕のことをする時は遠慮なくやる。 最初から最後まで歌う曲も出るかもしれない。 ただし、いつ出るかは分からない(笑)。 10年、15年経っても出ないかもしれない。 あまり期待しないでほしいと言っておきます。

♪Life Goes On

フィーチャリング曲たち (Snooze, People Pt.2)

ユンギ:フィーチャリングの話ははずせませんね。今回のフィーチャリングはJ-hope、IU、坂本龍一

さっき言った「So Far Away」「Dear My Friend」から「Snooze」まで。こういう、何ジャンルって言おうかな。うん、D-Styleって言いましょうか。僕が得意なやつだから。
D-Styleの曲のときはいつもちょっと濁った声の人を選ぶみたい。澄んだ声じゃなくて。

それから個人的にはメイン以外はさせない。コーラスなんかはその人はしなくていいと言う方です。のどは大事にしないと。あえてジョングクみたいに全部のコーラスをする必要は無いんです。コーラスする人がいなくてジョングギがすることはあったけど。

コーラス全般のトーンとかはイジョンが受け持って録音を受け取ったんだけど。どうでしたか?

イジョン:僕も同様に、Dジャンルの曲たち、それが好きみたいです。何故かは分からないけど。

ユンギ:ちょうど良い韓国的なフィーリング。昔の感性が良い感じで混ざってるんだよね。「Snooze」聞いて下さい。

♪Snooze

ユンギ:IUさんは…IUと僕が作業できた架け橋はイジョンでした。三人とも93年生まれのチングですよね。「eight」の作業もイジョンと一緒にやったし、「People pt.2」も一緒にしましたが、「People pt.2」はどうでしたか。

イジョン:「People pt.2」ですか?実は僕はこれにIUさんがフィーチャリングしてくれるとは 想像もできませんでした。

ユンギ:僕も想像してませんでしたけど、ただ頼んでみたら快くしてくださって…。ほんとにありがたく思っています 。
「People pt.2」は別に何も思い浮かばないですよね? ビートだけ作って僕にくれて(笑) 。いつ書いたのかも思い出せないでしょ、あのビート。

イジョン:(笑)実際思い出せないのがすごく多いんです。

ユンギ:3年前にビートを聞いていいねってメロディー書いて。

ちょうどそのときジョングクと一緒で、酒飲んでたんだよ。ワインを。コロナですることがなくて昼酒をしてたんだよ、やることがなくて。

それで「おい~ジョングガ~、どうする~、こっち来いよ~」って作業室に座らせて、僕がメロディーを書いたんです。それで「ジョングク、ガイドしてよ~ 」。お酒の途中でいきなりガイドを録音しました(笑)。

元々そういう音楽治療、大事なんです、本当に。僕はAgust Dシリーズをしながらそれを感じたんだ。 音楽を作り出すことで、そうやって僕の言いたいことを話しながら癒されたことがたくさんあるんです。 それでD-DAYまで来たんじゃないですか。

今もあんなに怒りっぽく余裕のないAgust Dだったら D-DAYを作ることができなかったでしょう。

それでジョングクに「ジョングク、ガイドしてよー。上手だよ~」「ヒョン、あまりにキーが高いんですけど?」「大丈夫、お前ならできるよ~」って励ましながら「ほら~、できたじゃん、できるって言ったじゃん~」って。
で、ジョングクも、僕も、イジョンも、全員が(この曲を)忘れていたんだけど、アルバム作業をすることで息を吹き返した歌です。 

歌詞はすぐ出てきました。これも3年前に書いておいたものだから、歌詞の途中に「Savage Love」の歌詞も出てくるし「eight」の歌詞も出て来る。そのときもう書いてあったんだけど、(ほかの曲を)書いてみたらその曲にもよく似合うと思って.. 。

絶対に使い回しではありません。 タイムラインを正確に言わないと。 これが一番先だったんです。「永遠は砂の城」「愛という言葉は瞬間の感情の羅列…」と言う歌詞は全部そのとき書いていたものです。

では「People pt.2」聞いて下さい。

♪People pt,2

一番得意な作曲法 センスが全て (Polar Night)

♪Polar Night

ユンギ:「Polar Night」の話をしましょう。「Polar Night」はどうやって作業しましたか。

イジョン:「Polar Night」はSUGAが「30」というテーマを投げてくれて。

ユンギ:アメリカでLA旅行したとき、ドキュメンタリーに出てくるけど、そのときスケッチして、渡しました。キム・グァンソク先生の「30の頃に」をサンプリングして…。

僕がいつも使う作曲法があるんです。 みんなが「このサウンドどうやって作ったの?」 っていうのは、ほとんどリバースとチョッピングを通じてサンプルカットをして作る場合がすごく多いです。

イジョン:ちょっと営業秘密過ぎないですか?

ユンギ: いやあ、これを聞いて出来るならやれば良いと思いますけど(笑)、出来ないと思いますよ?
君が見て知ってると思うけど、これはほんとにリアルに100%センスでやるものだから。 

イジョン:そうだね。

ユンギ:裏返したときの音と、これをどうやって切って付けたらどんな構成になるのか……。こういうのはあれと同じです。VJ特攻隊(テレビ番組)とかで味の秘密を教えてくれても再現できない。

イジョン:うん、そうそう。

ユンギ: 僕はこれだけは自信がある。サンプルカット、チョッピング、カット&ペーストは実は僕のメイン種目です。

「Moonlight」でも使ったし、「Agust D」って曲でも聞けるけど、あそこのジェームズ・ブラウン。「え、原曲はこれなの?」ってぐらい。チョッピングで曲を上手く作るんです。

……僕はあの時、ビートを上手く作ったなあ。敢えて言おう、その時のビートはすごかった。その時はもっと上手く作れたと思う(笑)

とにかくそれで「Polar Night」のビートを作ってドラム、ベース、リバースしたサンプルを持ってイジョンに渡しました 。

その後はイジョンが一生懸命作って(笑)。楽器を追加しながら、これは外さないと、入れないとって。ああやってこうやってって。

それで唐津(タンジン)と言う地方に行って自分を閉じ込めて。

数多くの夜の約束、酒の約束を後にして、僕は一度孤立しなければならないと。そうやって籠もって曲を書かなきゃいけないって、それで書きました。

そのときに「Polar Night」「Haeguem」のバース1と2、「AMYGDALA」のバース2を書いて出てきました。実はあの時出て来れたのは、本当に早くソウルに行きたかったんです (笑)。

2泊した後で、「いや~これは違う」って。「早く帰らなきゃ」って。

イジョン:一番のモチベーションですね。

ユンギ:初日に楽しくお肉を焼いて食べたりしたんだけど(歌詞が)出てこなくて、「もう知らない。 どうせ一週間いるから」って。

それで二日目の昼に「Polar Night」の歌詞が全部出てきました。「おお!上手くいけば今日ソウル行けるかも? 」と。それで「Haeguem」を書いて「AMYGDALA」を書いて 「僕は天才に違いない」と。

次の日にすぐソウルに上がってレコーディングをしている途中、 ユンギはすごく作品が気に入らなくなったんです。Haeguem、「ダメだ!」、AMYGDALA。「違う!」…。

それでもうアルバムを出さないって諦めた(笑)。

2ヶ月間ぐらいいろんな療養をして、「Snooze」の作業をするときに、もう一度聞いてみたんだけど。
そのときイジョンと電話しながら「ちょっと待って。前に録音したのあるな」って聞いてみたら「いやちょっと、思ったよりいいね?待って、これでいけるんじゃない?」って。浅い考えで(笑)。で、実際やってみたら良かったんですよ。

当時はいざ作っても満足できないじゃないですか。

「YIPS(主にスポーツ選手が緊張やプレッシャーによって一時的に技術を失う現象)が来る」って言うじゃないですか。スポーツ選手にYIPSが来るって。バスケの選手でスリーポイントが上手な選手が入らない。そういうときがミュージシャンにも来るんです。ほかの選手は点を入れるのに。「ダメだ~!!」ガシャンガシャン!って。

それで「Haeguem」の様々なバージョンを書いたんだけど、その中の一つが D-DAYのフックに入ります。覚えていますか。 トランスフォースを6つ上に上げて。

イジョン:ああ、あの時…、ほんとに全部のデータを探して…。はあ…。

ユンギ:それがD-DAYのフックになりました。とにかくそんな色んなエピソードがたくさんあるD-DAY。たくさん聞いて下さい。

ラッパー3人はほんとに上手い (HUH?!)

ユンギ:さて次はJ-hopeとコラボしたHUH⁈ の話。お前覚えてないだろ。

イジョン:……ビートを書いたって記憶だけ。

ユンギ:僕がリバースさせて「おい、イジョン、これで作ってみて。ドリルで作ってみろよ~ 次はドリルだ~!」

イジョン:そうだそうだ(笑)

ユンギ:「最近ドリルが好きなんだ。pop smokeの歌はなんでこんなに良いんだ? ドリルで行こう~」って作っておいて。

実際にはフックまでは簡単にできたと思います。僕のバースまでは簡単に出てきました。

それでやっぱり、ナムジュンと前回「Strange」をしたので。…そういえば「Strange」のビートもお前のじゃん?

イジョン:ほんと?

ユンギ:…ビートあのときの方が上手かった気がするけど(笑)。あのときは斬新なのをたくさんつくった気がするけど。

ちょっとイジョン~お金儲けて傲慢になったんじゃないの~

イジョン:あのときは何も考えずに。

ユンギ:謙虚にならないと~~。

とにかく。それでホビが必要だったんです。フィーチャリングでほかのラッパーも考えたけど…。

ほかの人はどう思うか分からないけど、僕はうちのラップラインの3人が本当にラップが上手いと思うんだよね。

イジョン:そうですよ。

ユンギ:スタイルがそれぞれ違うし。
最初は考えてたんですよ。候補が何人かいて。外国のラッパーたちを使ってみようと。でもどう考えてもホビほど上手な人を見つけられないんだ。

ほんとに僕たちが色んな批判をを受けたけど、僕たちラップが下手じゃないです。 上手なんです。

とにかくホビが上手くやりそうと思って任せたんだけど、ホビがすごく苦労しました。

「兄さん、なんでこんなに難しいんですかこれ」って。「ドリルってジャンルが初めてで難しいかもしれないけど、やってみろ」って。整理するのはこっちでやるからって。

(ホビが)「できません、ダメです、ダメです」って。「ホバ、もうミックスに渡さないといけないんだけど」、「今日までに録音します」って録音したものを受け取ったんだけど、 聞いてすぐ拍手して、そのまま使いました。

とにかくすごく上手かったです。あんな風に入るとは思ってなかった。 「これでできた」って思った。

「J-hope、お前はほんとに格好いい奴だった、すごく良いよ」って。「大丈夫でした?すごく難しくて」って。そんなことを思い出します。

♪HUH?!

10曲目を書いて逃げ、ミックスは任せた (Interlude:DAWN)

ユンギ:さて、どうせならアルバム全体の話をした方が良いから、もうちょっと話しましょう。
SDL」。どうやって作業したか覚えてないでしょう。ビート。これも3年前に作りました。

イジョン:ええ…..基本的にあまり考えないでやるから。

ユンギ:お前は考えずにやる時がかっこいい(笑)。 もっといいんだよ。

イジョン:(笑)ありがとうございます。

ユンギ:SDL」も3年前にメロディーを書いておいて 寝かせて、焦って何かないか?どうする?って。

いざ作って実際に完成してモニターを回したら、みんなこれがすごく良いって。そういうラインがあるんですよ。過去に行くライン。「People pt.2」「SDL」この二つが昔の感性を呼び起こす…。

僕たちが狙ってたところもあったよね。そういう昔の感じで作ってみようって。

SDL

ユンギ:「Interlude:Dawn」の話をしてみましょう。これもまさに僕がいつもやる方法でやったんです。「Snooze」のビートを持ってきてチョッピングして。すごくよくできました。

イジョン: 最初はユンギさんがセットしておいたスケッチをもらったときは、こうしようっていう考えはなかったんだけど、あれこれやってみるなかで、何か乗せたりしたら、なんだかコンサートのオープニングみたいな…

ユンギ:VCRみたいな。

イジョン:ちょっとなんだかオーケストラ風が強い曲になって、それなりに意味がある...。

ユンギ:「Snooze」はミニマルじゃないですか、編曲が。坂本龍一先生の演奏が入ってきて多彩になりましたけど。でも僕たちがミニマルに行くしかなかったのが、色々試したじゃない 。コードを厚くしたり、抜いたり追加してみたりしたけど、この昔の感じ、Epik Highの3、4集の感じを出すためにはミニマルにするのが正しかった。

そして「Snooze」を説明するために「Interlude」があるんですけど、「Interlude」で本当に強く攻めておいて「♪僕を見ながら夢見る…」(Snooze)ってミニマルに入るのがすごく好きなんです。
で、「Interlude」を最後に、10曲作業して……僕は、逃げました 。

「イジョン、ミックスはお前が勝手にしろ」って。

イジョン:本当に逃げました(笑)

ユンギ:「イジョンア、僕はやるだけやったと思う。最終ミックスだけ確認するよ。僕が何を求めてるかお前がよく分かってるじゃん。お前がやって」って。

それでマスターまで聞いて、アルバムが完成した。

ミックスの途中で一日を決めて修正しました。 「やー、イジョンミックス上手じゃん~今度習って来いよ~」って。

個人的にイジョンはミックスを…実際できないわけでもなく、上手いんです。

外国のプロデューサーたちは曲を書きながらミックスを一緒にする場合も多いです。ジュースワールドのを制作したときも808マフィアの方から来たのかな、そのプロデューサーが録音とミックスを同時に進行するのを見て。「ああ、自分はなんで当たり前にエンジニアに任せたんだろう」って。「誰よりも僕たちがサウンドについて よく知っているのに」って。 

それでチャン・イジョンに留学しなよって言いました。 行ってミックスを習って来いと、教わってくればいいんじゃないかって。でも英語ができないから行かないと…(笑)。

 いや僕はお前がミックスをもっと習って、 今も上手いけど、もうちょっとディテールを身に付けてミックスを全部やったらどうかなって。実際そうできたら楽じゃん。

♪Interlude:Dawn

ユンギ:僕たちいつも、2人で普段からこうやって話してます。お互い冗談もたくさん言って、いつもやられる立場のイジョン。

イジョン:僕は聞く立場ですね。

ユンギ:僕たちの何というかひとつのルーティンみたいなものです。「おい イジョン、こうやってみて」って。

イジョン:先生ですね(笑)

ユンギ:イジョンがしゅんとしながら「分かった~。やってみる」っていうのがルーティン。誤解しないで下さい、僕たちの冗談のルーティンなんです(笑)。誤解しないで。

さて、イジョンさん今日はどうでしたか。

イジョン:SUGAといつも話していたことをまた話した感じではありますが、 こうやって他の方々にも聞いてもらったのが、すごく面白いです。

ユンギ:本人のPRもしてください。僕のじゃないのもいろいろやってるよね。最近の…BE'Oさんのタイトルはなんだっけ。

イジョン:はい、「火が消えて(불이 꺼지고)」っていう曲を出しました。

ユンギ:いろんなアーティストとの仕事もやってますが、今後のEL CAPITXNとしての計画、それから歌手チャン・イジョンを聞きたがってる人も多いと思うんですが、そういう話はどうですか?

イジョン:とりあえずは僕の本業である、SUGAさんとHYBEのプロデューサーとして引き続き一生懸命やって、そのなかで何か企画があれば、外部の人とも仕事をして。そんな風にするかなと。

ユンギ:プロデューサーの夢ですよね、プロデュースアルバムを出す考えはありますか?

イジョン:考えはありますが、まだ具体化はしていません。

ユンギ:お金がたくさんかかるよ~。

とにかく僕はチャン・イジョンという人のプロデュースアルバムまで期待しています。

それからある日、 僕と一緒にしなくなるかもしれません。それは仕方がないんだよ。ただ僕たちが仲が悪いわけではなく、お互いにそれぞれの領域ができるものだから。

だからイジョンにもいつも「作曲家の弟たちをたくさん育てておきなよ。お前も後々独立して、アルバムとか他の歌手たちとやらないと」って何年か前からアドバイスもしてるんだけど。それでそうやって上手くやってるし。イジョンさんのチームもあるしね。

イジョン:「ベンダース」っていうプロデュースチームがあります。みんな熱心だし、SUGAさんのも一緒に作るし。

ユンギ:はい、こうやってイジョンと、皆さんと、Agust D、Agust Dの音楽の話をディープにできて良かったです。

本当はもっと話すことがあるんだけど、2時間、3時間超えそうだし。ほかのインタビューもあるので。そのときはもっと詳しい話をできればと思います。

今回のラジオでみなさんもAgust Dについて多くを知って頂ければと思います。

僕のAgust Dとしての旅は続くかもしれないし、そうじゃないかも知れません。

最初にAgust Dという名前を使ったのは、そのときの考えがあって…ああ、あの頃はすごく被害者意識があったんです。

僕が名前を別に出すとしたら、皆さんの先入観がなくなるだろうってことから始めたんですが、でも今はもうAgust DもSUGAもミン·ユンギも別に……特に考えていません。

あのときいろいろ言ってた人たちも、いまこういう曲を聞きながら、喜んでくれてると思います。

ただミン・ユンギ、SUGAなのが楽ではあるんですが、一方ではまだAgust Dという存在にとても愛着を持っているので、トリロジーは3部作で完成しましたが、Agust Dとしての歩みがこれからどうなるかは、これから見守らなければならないようです。 

…あああ…SUGAの方が宣伝が上手くいったよな…SUGAで出せばよかった(笑)。

イジョン:ハハハハ!

ユンギ:冗談です(笑)。

今日お話したこと、トリロジーについても思いを巡らせて、新しいアルバムD-DAYをたくさん聞いていただいて、Agust Dにもたくさんの愛をお願いします。

本当に僕もすごく愛着を持っている名前です。 僕でありSUGAであり、Agust Dでありミン・ユンギです。

とにかく今日ご一緒してくださったイジョンにもう一度感謝の気持ちをお伝えします。

最後にこの曲を聞きながらお別れします。
Agust Dの「精神」が込められた曲です。 Agust Dの「Agust D」。

♪Agust D