はちみつと焼酎

BTS 방탄소년단/SUGA. 日本語訳など

BTS Vという芸術/BIGISSUE Korea コラム訳

BIGISSUE KOREAの連載コラム「人生はアイドルだ」が面白いので、ピックアップして訳します。筆者はKPOPコラムニストのチェ・イサクさん。Papagoで下訳してその後整えてます。元テキストはこちら。

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顔は名画


Vはマスクが良い。 「マスクが良い」とは主に俳優に使う表現だ。 どんな配役でも消化できる「千の顔」などと言うこともある。 Vの顔には田舎の子供のような明るさと、人を緊張させる涼やかさが同時に漂っている。 二重まぶたのない大きな目には、狂気や純粋さ、好奇心や倦怠(けんたい)が光る。 ニックネームは「CGのようにハンサムだ」という意味のCGVだが、大きな目鼻立ちと頑丈なあごが織り成すドラマチックなラインには、古典中の古典のような美しさがある。 世界で一番ハンサムな男性1位、地球で一番ハンサムな男性100人など、顔に関する国内外のチャートでVは全て最高を記録したが、「ハンサム」という表現はVの「マスク」を説明するのに適当ではない。

Vのマスクが最も引き立つ作品として、防弾少年団の「花様年華」アルバム3部作の第二のタイトル曲「Run」(2015)のミュージックビデオを挙げたい。 青春のさまよいと逸脱を盛り込んだこのミュージックビデオで、Vは深淵のように濁った水の中でもがく演技をする。終始息詰まる映像がクライマックスに至り、Vが水をかき分けて静かに正面を見つめる瞬間、「花様年華」は文学として生まれ変わる。Vの顔には物語がある。 カメラの中で、彼は作品であり、詩人となる。

BTSの『LOVE YOURSELF』(2018)アルバムに収録されたVのソロ曲「Singularity」で物語はさらに深まる。 「Singularity」はナルシス神話を借用し、自我とペルソナの非対称を語る、非常に洗練されたスローテンポのR&B曲である。 「Singularity」ミュージックビデオでVはナルシスの化身になる。 水に映った自分の顔を見て恋に落ちるほど華やかで、深く魅惑的な魔術のような低音で神話を呼び出す。 この曲を作詞したRMは歌詞を3時間で完成したという。 作曲したチャーリー·ジェイ·ペリーはアメリカの<ビルボード>マガジンとのインタビューで完成した歌を聞いた後の感想を「とても美しい経験だった」と表現した。 Vは創作者にインスピレーションを吹き込むミューズだ。

「Singularity」が織り成す音楽、企画、演出、ファッション、パフォーマンス、すべてが皆既日食のように宿命的に整列され、商業芸術が到達できる境地を極める。

2019年BTSコンサートで「Singularity」のステージを見た時の衝撃を思い出す。 冥界の神ハデスを連想させるブラック·ファー·コートを着て、ただれた赤いバラ色のベルベットベッドに横たわり、カメラを凝視するVの顔が巨大な電光板にいっぱいになった瞬間、観客はしばらく言葉を失った。 蚕室(チャムシル)ソウル総合運動場の約30年の歴史の中で、最も静かな瞬間だったはずだ。 歓呼がワンテンポ遅れて沸き起こった。Vは芸術家であり、芸術そのものだった。

性格は童話

Vはクリスマスのような人だ。 誕生日が12月30日彼の世界は、すべての日が、イベントのような年末の夜の街角の色とりどりの光と、冬の日に冷たい心を溶かす暖炉のようなキャロルと山小屋の屋根の上に積もった純粋な雪の風景に似ている。 幼い頃から彼の誕生日は、優しい励ましと祝福に満ちたクリスマスパーティーであり忘年会だった。 そのためかVは「Snow Flower」(2020)、「Winter Bear」(2019)といった冬の歌を多く作曲した。

Vはクリスマスカードのように話す。 多くのエピソードがあるが、私が最も印象的なのは、2018年のワールドツアー中に偶然立ち寄った米国ダラスのギャラリーで、老年の無名画家の作品を購入し、「May your day shine bright」とメッセージを残したことだ。Vは英語をが得意ではない。彼はおそらくどこかで読んだり聞いたりした美しい文章を覚えて、そうしたのだろう。 Vは、誰かを幸せにするために、心に言葉を抱える人なのだ。Vがいることで、世界が時々ひときわ美しくなる。

Vは流暢には話せない。 お互いに目を見ただけで分かりあえるBTSの外に出て、スポーツ中継をするように話すプロの放送人たちの間に一人で座っている時は、なんだか助けてあげたい気持ちになる。 人々はVが話す度に可愛がるが、彼は真剣な人だ。 確固たる独創性と感受性で絵を描き、写真を撮って曲を書き、ファンと友達のようにコミュニケーションを取りながら、誰よりも流暢に自分の世界を表現する。

代表的な表現としてはBTSの象徴となった「ボラヘ」が挙げられる。 2016年のファンミーティングで会場を埋め尽くした紫色のペンライトの波を見て、紫色が虹の最後の波長の色なので「相手を信じてお互い長く愛し合おうという意味」と定義して「ボラヘ」を初めて口にした。 「最後の色」から「終わり」ではなく「続く」を連想したのだ。 純粋で直観的なVのプリズムを経て、世の中はもっと興味深くロマンチックな場所に変わる。 2017年、あるコンサートでRMの背中がハートの形に汗で濡れたのを見て「心が外に出てしまいました」と言ったこともある。 Vの世界は愛に満ちている。 「目の前にARMYという存在がいないので、僕が愛される人だという確信が持てない」と空虚感と寂しさを告白したこのパンデミック時期にも、彼は自作曲「Blue & Grey」(2020)で「Where is my angel?(私の天使はどこにいるの?)」と歌いながら灰色の世界を愛の夢でいっぱいにした。

Vには子供のように純粋な面がたくさんあるが 「子供みたいな」人ではない。 彼は生まれたままに生きてきた人らしく、大きな度胸を持っている。 2017年BTSが初めてアメリカのビルボードミュージックアワードで「トップソーシャルアーティスト」賞を受賞した時、まるで預けておいた賞を取りに行くように軽快かつ自然な足取りで先頭に立って授賞台に向かったVの姿を覚えている。 熱狂的な10代の女性ファンを擁する東洋の神秘的なボーイバンドなどとに見下す無礼な質問に耐え、レッドカーペットを踏み、いつ広告が出るのか分からない授賞式でも、Vは怖じ気づいたり、疲れずにその瞬間を楽しんだ。 その姿が私にはトロフィーほどに輝いて見えた。 東洋の神秘的な国から来たが、世界基準のハンサムであるVが、少し下品な表現だが「顔で引き締め」カメラにいっぱいになった時のスリルももちろん欠かせない。 Vは「幸せとはその瞬間だけは 何の心配もないもの」と定義したことがある。 BTSが世界有数の馴染みの薄い授賞式と舞台で、特有の挑戦的で健康なエネルギーを発散できるのは、その瞬間だけは何の心配もなく幸せを感じて表現するVがいるからなのかも知れない。

人生は映画 

Vの人生は映画のようだ。映画の原型であるフィルム映画が、暗闇に光を当てて上演する原理なので、映画は光と闇の芸術と呼ばれる。

Vは防弾少年団として活動した9年の間に体格が一番変化したメンバーだ。 「おい、お前の夢は何だ?」と聞いて始まる歌「No More Dream」(2013)でデビューして「夢を全部達成した」と言われるようになった現在に至るまで、ワールドスーパースター防弾少年団の旅路に当たる光と闇を吸収し、広い肩と堅い顎、整った眉毛と、多くの場合寂しく見える落ち着いた顔をした 大人として成長した。 中小企画会社の「取るに足らない」アイドルとして始まり、デビュー後3年で歌謡大賞を受賞する栄誉を受け、彼らの愛の世界を揺るがす数千万のファンが生まれ、親のように育ててくれた愛する祖父の葬儀を行った後、海外スケジュールを消化するために急いで出国しなければならなかった。 地中海の美しい島国マルタの月光の下に座って子供のようにわんわんと泣い彼の姿を覚えている。

光の反対側には、必ず闇があるという人生の皮肉に耐える方法は、それぞれ違う。 RMは、博物館やサイクリングなどの普通の生活をし、JINは頭を空っぽにしようとしていると話す。Vは我慢しない。どっぷりと沈み、それをただ流す。 だからVの自作曲には、超然としたところと恋しさの感情が染みこんでいる。

揺れるカヌーの上に一人で立つVを見た瞬間、自分の人生を見ているような気がしました。 「Blue & Grey」の歌詞は、人生を広げたようで、 その歌を初めて聞いた時は、泣き続けて···。 後で暖かく笑うことができました-ARMYツイッター@fineday_v

Vの人生を映画化するなら、自作曲「Blue&Grey」の原曲を聞きながらカヌーに乗る<IN THE SOOP IN THE SOOP BTS編>シーズン1(2020)の姿から始まるだろう。 セットしていない髪に楽な服を着て、川の風のようにすっきりと笑いながらオールを漕ぐ姿で。これからの人生の再生時間でも、Vは自分だけの速度と方向に悠々とオールを漕いで行くだろう。 あなたの日々が明るく輝きますように。

/チェ·イサク(K-POPファンコラムニスト)