はちみつと焼酎

BTS 방탄소년단/SUGA. 日本語訳など

BTS ジョングクは天才ではない/BIGISSUE Korea コラム訳

BIGISSUE KOREAの連載コラム「人生はアイドルだ」が面白いので、ピックアップして訳します。Papagoで下訳してその後整えてます。

筆者はKPOPコラムニストのチェ・イサクさん。【後記】の訳はこちら

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BTS ジョングクは天才ではない

天才とは、がらんとしていると同時に、溢れるほど満たされた存在。 BTS ジョングクを見ると、そう思う。

「怖い乗り物」ランキング上位に上がるような装置に乗ってコンサート会場を飛び回りながら、ライブで揺らぎなく歌い、パフォーマンスをするときはまるで舞台に火が燃え広がるような強烈さを抱かせる。 目を閉じて瞬間を味わいながら歌うときは、少し大げさに聞こえるかもしれないが、その間に世界が何度も消え、また創造されるような永遠を感じさせる。 世の中の全ての主人公キャラクターに似合いそうな美しくて善良な外見、スプーンを持つだけで筋肉がつくという生まれつきの体力もある。

ジョングクは完成した存在のようだ。 しかし、彼は毎日自らをスタートラインの前に立たせる。 成し遂げたことと手にしたものを振り返らず、ひたすら前を向いて全速力で走る。 「まだまだだ」と自らを厳しく評価し、「オールラウンダー」というマスコミの賛辞を頑なに断る。 彼の座右の銘は「情熱なく生きるより死んだほうがましだ」だ。 公演する時は「骨が折れても」「肺が折れても」と言う。 ジョングクにとって舞台は命をかけた戦場だ。 だから、ジョングクを天才とは呼びたくない。 彼が体当たりで挑戦し、努力し、勝ち抜いた時間を過小評価することになるからだ。 ジョングクは天才ではない。

だれよりも早く大人になる

「泣いてるの?」

今何をしているのかという「オタ活仲間」のメッセージに、ジョングクのソロ曲「My time」を一日中聞いていると答えた。 違うと言ったが、その通りだ。 本当は泣いていた。

まあ、ただ人生がうまくいかないから。 人生は元々そういうものだから。 とにかく幼い年でデビューし、同年代とは違う時空間で生きてきたジョングクの混乱と悲しみを表現したこの歌は「私たち 」を涙させる。 どうも彼の悲しみは自分のもののように痛い。 ジョングクが「BTS」でデビューし、少年から青年に育つ間、ファンも学生として社会人として親として走り回る人生を共にしたからだ。

ジョングクは、BTSメンバーとファンが自我の大きな一部だと言ってきた。 ファンにとってもジョングクは彼らの一部だ。 だから、彼が明るく笑いながらブランコに乗って、おいしそうに食べ物を食べて、顔の産毛を抜く姿を見ると、何というか、空の星を取ってあげたい*1という気持ちがこみ上げてくる。ジョングクは15歳で練習生生活を始め、17歳でデビューした。 小学校を卒業して1年しか経っていない年から、小さな芸能事務所の期待株で、死活をかけてデビューしたBTSのメインボーカルとしてチームの舵取りを任された。

世の中が完璧ではないということに今気づいた20代序盤のラッパーメンバーの血気に押されてはならず、それぞれ個性がはっきりしているボーカルメンバーの間でバランスを取ると同時に決定的な「一発」を打たなければならなかった。 生き残るために、チームの成功のためにジョングクは早く大人にならなければならなかった。

幸いにも生まれつきの才能と努力で、すぐ幼いと実力を無視できない存在になった。 しかし習得力に優れたジョングクは、ダンスと歌だけでなく17歳の社会人として、そして「コネのない中小アイドル」の末っ子として、言葉と行動を我慢する方法も早く会得しなければならなかった。 家族のように大切にして愛してくれるメンバーがいるが、人生には一人で責任を負わなければならないものがある。 そして、責任を負うということは、それだけの寂しさに耐えなければならないという意味だ。 そのためだろうか。 ジョングクは、同じような孤独を背負っている人々を通り過ぎることができない。 撮影現場で一人で重い荷物を運ぶ末端の社員を助け、大賞を受賞した年末歌謡授賞式では、王子のようなスーツを着てしゃがみ、舞台に落ちている電球を拾い上げる。 彼は優しくて思いやりがある。「何もなかった15歳」のジョングクは、世の中の波にさらわれない内面の静けさと強靭さを持った25歳になった。

目を見て話しをしよう

パンデミック以降を想像すると、2019年に開かれたファンミーティング「Magic Shop」で、すべての瞬間を記憶するかのように深い目で観客席を眺めていたジョングクを真っ先に描くことができる。 「私と目が合ったタイミング」が1000回はあったが、その中の1回は妄想ではなかったようだ。 とにかく。新型コロナワクチンの第1次接種後からは、食事をしていても道を歩いていても、その日に出くわしたジョングクの清らかで正直な目つきを思い浮かべる。 そしてその目を再び合わせる日を指折り数えて待つことになる。史上最大規模と予告されていた BTSの2020年ワールドツアーは、完全に取り消された (ちなみに私はグラウンド席に当選していた)。オフライン席の前売りが期待されていたファンミーティングとコンサートは、全てオンラインで進行された。 しかし、もう大丈夫だ。 また会える日まであまり残ってないから。 その日が来たら、ジョングクの目を見ながら話したい。 だめならモニターでも見て話したい。 会いたかったよって。 私の黄金のような人、あなたを愛していると。

 

 

*1:夢のまた夢、不可能なことを例える韓国語のことわざ하늘의 별 따기(空の星取り)から。