韓国の日刊新聞、中央日報に掲載された音楽評論家のキム・ヨンデさんのコラムです。パパゴ下訳。
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[キム·ヨンデの文化イシュー] BTS 10年、K-POP 10年···世界を束ねた物語の力
BTSのこの10年は間違いなくKポップの10年だ。 彼らが成し遂げたすべての個別の成果は直ちにKポップの歴史的成果と命名され、彼らが立てたすべての記録は目撃されはしたが、どうやって可能になったのか不可思議な金字塔となり、永遠に称えられるだろう。
誰かはこれを奇跡と呼び、ほかの誰かは情熱の足跡とも呼ぶ。 しかし、一つ確かなことは、それが真似することはできても、複製ができない何かだったということだ。 もちろん、だからこそより価値があるのだ。
世界の大衆音楽を変えた偉大な出来事
大衆音楽の歴史を見れば、説明のできないあるエネルギーと時代の精神が集まって作り出した「瞬間」がある。 米国に侵攻しロックンロールの革命を完成させたビートルズの「ブリティッシュ·インベージョン」がそうであり、音楽放送MTVを背にR&B歌手初の「ポップアイコン」として浮上したマイケル・ジャクソンの、全地球的なポップ普遍主義がそうだった。
この10年間、BTSが全世界を駆け巡って成し遂げた「BTS現象」と「Kポップ革命」も、まもなく世界大衆音楽界を変えた偉大な瞬間の一つとして記録されるだろう。
民族的自負心を超える成果
制度・資本の力なく築き上げた奇跡
世界の「ARMY」泣かせた若者の話
人文的洞察が盛り込まれた物語が必要だ
韓国人の立場からすると、私たちはどうしても国家主義、あるいは民族主義の観点からKポップの成果を眺める傾向がある。 そのため、BTSが成し遂げた成果も、韓国大衆音楽初のビルボード1位や米国のメイン音楽イベントでの受賞のようなものが主に語られている。 誰もが信じられないほど胸がいっぱいになることだが、「BTS現象」の本質がそれだけだとすれば、少し虚しくはないだろうか。
考えてみよう。BTSの前例のない国際的成功をもたらしたARMYの多くは、私たちが感じる民族的自負心とは無関係な世界の人々だ。 彼らの立場から見れば、BTSの成功は「韓流」や「Kポップ」の成功以上のことを意味せざるを得ない。
BTSの軌跡を追ってきた人々は分かるだろうが、それは才能と情熱がついにそれに相応しい結果につながる証明の物語であり、ひいては「私たちが一緒なら砂漠も海になる」というARMYたちのスローガンに込められたように、不可能に見えたすべてのものが共にすることでなされる、奇跡のような勝利の体験でもある。
米国という巨大産業が企画していない、業界の力と資本が強制しない、下から始まった有機的なプロセスによるグローバルポップアーティストの誕生に、多くの人が熱狂し、その流れに加わることを望んだ。 「有名だから有名な」ただそのようなポップアーティストではなく、「成功しなければならない理由がある」アンダードッグの物語は、そのように途方もない力を持つことができた。
BTSの10年を迎え、その次を心配する人が多い。 過去ビートルズが英国大衆音楽で持つ地位がそうだったように、BTSの地位とその業績は他のどのアーティストにも簡単に代替することは難しそうだ。 しかし、BTSが育てたKポップのパイを、どのように広げていくかについての試行錯誤も必要だ。
この20年余りの間、Kポップはトレンドを追わずに、トレンドの上に君臨できるシステムを確保しようと努力した。 それがSMイ・スマンが提示した「アイドル」産業であり、パン・シヒョクはKポップが逃してきた真正性の物語を加えて「BTS現象」を引き出すことができた。
最近、ニュージーンズブームやフィフティ・フィフティの世界市場での活躍からも分かるように、Kポップが典型的なKポップらしさを脱ぎ、もう少し柔軟で普遍的な大衆音楽に進む、また違った方法論も注目されている。 それぞれ有効な一つの「オプション」である。
ジャンルと技術が平準化した世の中
私は改めてKポップが解きほぐす「物語」に注目する。
10年前までは、世界の人々にとってKポップは、よく分からない外国語で歌われる、ビジュアル的な遊戯に過ぎなかったが、今は違う。 人々は他の誰でもない韓国人の話と考えを知り、韓国のモダンさが世界の標準になるのも見慣れた世の中になった。
ジャンルが無意味になり技術的な平準化が起きている音楽市場で、大衆音楽の成功は結局、どんな魅力的な語りと物語を通じて、それに共感する人をどれだけ多く確保するかの戦いになるだろうし、だからこそ、さらに今後Kポップ産業は人文学的な洞察と想像力を持った語り手たちの役割を要求することになるだろう。
普遍的な物語を通じて、Kポップの新しい章を開いたBTSの成功が残した最も大きな教訓もまさにそれなのだ。
キム・ヨンデ 音楽評論家
