はちみつと焼酎

BTS 방탄소년단/SUGA. 日本語訳など

Kポップで米国と英国の鼻を折った「BTS効果」/BTS10周年 キム・ヨンデさんコラム

音楽評論家のキム・ヨンデさんによるコラムです。

パパゴ下訳してもらってます。

(タイトルがいまいちだな~時事ジャーナルというサイトですので、編集者がつけたのかもしません。)

★★★ここから★★★

Kポップで米国と英国の鼻を折った「BTS効果」

2023.6.16.

ゲームの法則を変えたBTS、Kポップの歴史そのもの

ビルボード1位や経済効果より大きな意味は「善良な影響力」

ソウルのランドマークが紫色に染まり、都市のあちこちでは韓国アーティストのデビューを記念する様々なイベントが同時多発的に行われる。 その祭りを楽しむ多くの人々の中には、韓国人だけでなく世界各地から押し寄せた外国人の姿もすぐに見つけることができる。ほかでもない BTSのデビュー10周年を記念する「フェスタ」の風景だ。
音楽に関心のない人にはただ有名な芸能人かも知れないが、KポップファンとBTSファンダム「ARMY」にとって、彼らのデビューはKポップの歴史の、ひいては大衆音楽史の最も重要な瞬間の一つとして記憶されるだろう。

デビュー10周年記念「フェスタ」がソウル各地で開催され

実際、あえて無理に意味を持たせなくても、BTSの10年が彼ら自身のキャリア以上に重要な何かであるという点に異議を唱える人は多くないだろう。 Kポップの成功と評価される多くのことが、実際には彼らを通じて行われ、それに伴いKポップの地位と範疇も向上した。 しかし、依然としてBTSが成し遂げた多くのことは、まともに理解されていないか正当な評価を待っている状態だ。

多くの人がBTSの成功をビルボード1位のような「成績」から探そうとしている。 さらに、数億とか何兆とかいう経済効果の観点から評価することもある。
もちろん、これが輝かしい成果だという点にあえて反論したくはない。 大衆音楽の本場である米国と英国はもちろん、韓国よりずっと先に現代的な大衆音楽産業を作り上げた日本に、常に劣等感を感じていた韓国の立場からすれば、BTSビルボードチャート1位や各種の音楽賞受賞のような目に見える成果たちは、何よりも刺激的で愉快なものに違いない。

韓国出身の歌手が米国市場で大きな成功を収め、米国最高のスターたちでも満員にできないい大型スタジアムを連日完売させる怪力を誇る一方、歌謡とは無関係だと思っていた白人、黒人、ラティーノの音楽ファンが、韓国の歌手BTSに熱狂する姿を見ながら、これまで音楽の先進国に抱いてきた長い間のコンプレックスを少しでも減らすことができた。 個人の成功を国家の成功と重ねる人々なら、経済的効果を含めたすべての成功が我々に与える自負心と達成感を無視することはできないだろう。 筆者も例外ではない。

しかし、私たちが必ずそのような気分を感じるものなのだとすれば、もう少し大きなスケールで意味を見いだしてみてはどうだろうか。
たとえばこんなものだ。 現代の大衆音楽が米国で始まって以来、大衆音楽の「偶像」は常に英米圏のポップスター、それも事実上白人の専有物だったと言っても過言ではない。 黒人音楽とラテン音楽がポップのトレンドを左右する最近でも「アイコン」と呼ばれる存在は、大部分が英語を使う白人である場合が多い。

ところが、その短くないポップミュージックの歴史で、初めて英語ではなく他国語を使う非西欧圏のポップアイコンが登場したのだ。 わずか10年前までは想像できなかったことが現実に起こったのだ。
その昔「イギリス」のアーティストであるビートルズの米国侵攻や「黒人」ポップスター、マイケルジャクソンの登場のように、非英語圏であり非英米圏の「アジアン」ポップスターの登場は今や新しい時代が開かれたことを意味する。
しかもこのような流れが英米圏ポップミュージックのシステムではなく、Kポップという完全に外の力によって浸透し占拠されたという点に注目する必要がある。

BTSの音楽とメッセージの普遍性

BTSが頂点に立って以来、世界の大衆音楽市場は急激な変化を経験している。
米国と英国が事実上独占してきた「アイドル」市場の主導権は、今や韓国が率いており、10代の「アイドル(偶像)」のイメージや顔で、アジア人を思い浮かべるのももはや違和感がなくなった。 これこそ数字と記録よりも重要な「BTS効果」だ。

BTSはすでにゲームの構図を変えている。 彼らが世界最高の人気グループになって以来、主流ポップミュージックはKポップの「領土」を認める雰囲気に変わっている。
米国市場がまた別のBTSを探すために新人Kポップグループに格別に力を入れるかと思えば、彼らが直接BTSのようなグループを作るために、成功の方程式とKポップシステムを研究してもいる。
今年から少しずつ姿を現すであろう、米国が企画し韓国が製作ノウハウを提供する合作形態のオーディションプログラムが順次公開される予定だ。 これには巨大な資本とマスコミを所有したメジャーメディア会社が参加する予定だという。

ずいぶん前からドアを叩いていたが、びくともせず鼻が高かった米国市場が、BTSの奇跡のような成功を契機に、態度と戦略を変えているのだ。
一人の韓国人としては米国市場で成功した韓国歌手という事実だけでも十分満足できるが、数十年を揺らぐことなく健在な米国音楽産業の風景を根本的に変えている存在が、他でもない韓国のアーティストだという事実はさらに格別な感動を与える。

BTSが成し遂げた最も偉大な業績は、彼らが自分の音楽を通じて世界を繋げたことだ。

音楽とメッセージの普遍性、私たちが常に英米圏ポップミュージックの特権だと思っていたそのミッションを、BTSが成し遂げたのだ。
数千万に達する全世界の「ARMY」たちは国籍、人種、文化が違うにもかかわらずBTSが伝える普遍的な美しさと真正性のある話を通じて強く結びつき、連帯することに成功した。

彼らは時には熱狂的なファンでもあり、真剣で鋭い批評家でもあり、BTSの擁護者でありパートナーでもあり、最も強力な支援軍だ。
彼らは人種差別やアジアヘイトのようにBTSを遮る多様な試練を共に乗り越えていき、彼らの成功のために時間とお金を惜しまない。
しかし、考えてみよう。 このような世界的なARMYの流れが可能なのは、彼らが基本的にBTSが音楽を通じて伝えようとする価値と哲学に共感し感動したためだ。

BTSが作った道で新しいKポップ時代が開かれる

BTSの音楽に込められた多様な価値、例えば自分に対する肯定、自我に対する探求、苦しい世の中で屈することなく試練と痛みを克服していこうとする肯定的で進歩的な態度は、すべてを超越してファンを一つにまとめる。
そしてこれを通じてもたらされた巨大な力は、多様な方式で世の中を変えるのに活用され、アイドル「ファンダム」の意味と可能性を新たに規定している。
長年英米圏アーティストだけの専有物と思われてきた全地球的な「善良な影響力」が、今は韓国アーティストであるBTSによって作られているのだ。

ファンダム「ARMY」がよく使う表現の中に「BTS paved the way」という英語フレーズがある。 BTSがこの新しい道を作ったという意味だ。
多くの人が挑戦したが、誰も成し遂げられなかったその道は、BTSと共に彼らの最大の助力者であるARMYたちの努力を通じて今日の姿に磨きをかけることができた。
いつのまにかその道の上に新しいKポップの全盛時代が開かれ、「ポストBTS」のランナーたちが素早く頂上に挑戦し、新しい世代を導いているのだから、BTSがあれほど望んだ「証明」はこれで十分なのかも知れない。

しかしその広い道の先頭では、グループ活動の第一章を終え、ソロ活動を中心に新しいチャプターを開いていくBTSが依然として健在な姿で新しい道を模索している。
これからまたどんな新しい10年が繰り広げられるか分からないが、今までそうしてきたようにBTSの歴史がそのままKポップの歴史になるだろう。

キム·ヨンデ音楽評論家