はちみつと焼酎

BTS 방탄소년단/SUGA. 日本語訳など

BE 制作の思いや音楽について語る RM編

BTSのアルバム「BE」の制作についてメンバーが語る「BE-hind Story」という動画が公開されています。メンバーがリレーでメンバーをインタビューする形式で、各メンバーごとにそれぞれ15分から24分。一本にまとめたダイジェストで約1時間12分あります。
日本語字幕つきのダイジェストはこちら。

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ダイジェストを見れば、だいたいの内容は分かるんですが、メンバーごとの動画にはなぜか日本語訳がついていません。それで訳しがてら感想をツイッターでつぶやいてたんですが、7人分はつぶやくのも読むのも大変なので、ここでまとめてみようかと思います。

  • ジン←ジョングク
  • ジョングク←j-hope
  • J-hope ←V
  • ジミン ←ジン
  • RM←ジミン
  • SUGA←RM 
  • V←SUGA

 ダイジェストの順番はこうなっています。多分インタビュー自体この順番で進行したっぽい。

このアルバム、過去作のようにコンセプトに合わせた「企画ありき」ではなく、いま届けたいメッセージを込めて、セルフプロデュースで制作が進められたこともあって、興味深い裏側はもちろん、彼らの成長も感じられるものでしたまとめる順番は、まずはリーダーのRMから、そして制作に深く関わってるラップラインの2人、SUGA、J-hopeの順で行きます。訳というより、抜粋した内容のまとめと感想、という形でいきたいと思います~。
(RMのインタビューは一番長い上に、早口で中身もほかの1.5倍ぐらい詰まっているので、多分今回はこれだけになりそうw)

(多分いないと思うけど、BTSのメンバーの名前をよく知らないという方のために、RM=ナムジュン=ナム、SUGA=SG=ユンギ、J-hope=JH=ホソク=ホビ、V=テヒョン=テテ、ジョングク=JK=グク です)

ツイートも置いておきます。 

https://twitter.com/honeysuga7/status/1367021389232758787?s=21

 

 

 

RM’s BE-hind 'Full' Story

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BE制作への思い

RM:もう記憶もおぼろげになってきてるけれど、当時は(ツアーがキャンセルされて)、絶壁にいるような。できることがそれしかなかったじゃないですか。

Dynamiteがリリースされて、ヒットするにはしましたが、それはそれ。活動だから。

BEの作業は、それが唯一できることをしている感覚。なんというか、語りたい言葉はたくさんあるのに、どうすればいいのかな?いろんな複雑な感情で制作しました。

JM:みんな辛かったですよね。どんな気持ちを(このアルバムに)こめれば良いのか。そこからとりあえず話が始まりました。

RM:そうなんです。辛いからといって、「辛い!」と言うわけにはいかないじゃないですか。これを魔法のように、錬金術を使ってアルバムにするわけじゃない。美しく作るとしても、肯定的に作るとしても、何か変化させなきゃいけないんだけど、これをどう話そうか?そんな悩みがありましたね。

 新型コロナで予定されていたワールドツアーはもちろん、まだ発表前だったあらゆる予定がいったんキャンセルに。歌番組も無観客でみんな戸惑っていました。リーダーの苦悩がうかがえます。悔しさや怒りや、そういった生々しい感情をこのタイミングでどうやって作品に昇華するか、決まったのはファンたちにその過程も公開しながら、セルフプロデュースのアルバム制作でした。

Life Goes On というテーマ

JM:テレパシーというテーマを出しましたよね?

RM:正直、それほど新鮮なテーマではないですが、僕たちがやったらまた違う何かが出てこないかなと思って。結局Life Goes Onになったんですが、それしかお話できることがないと思ったんです。

JM:最後に唯一残った言葉でしたね

RM:残った言葉だったし、呪文みたいなものでした。あのとき会社の作業室の前のテーブルのところで、パンPDとそんな話をしたことを憶えてます。「Life Goes Onはどうだ?」「Carry Onはどうだ?」と。僕が2PacのLife goes onという曲がすごく好きで、それを思い浮かべもして。その前に出した曲も「ON」で、つながるみたいで、良さそうだと。

「それでも人生は続く」。いま伝えられるのは呪文のようなこの言葉だったと。

慰めでもあり、最後にすがる言葉でもあり。私たちの前にこの言葉が姿を見せたのは、UN総会での演説でした。当時の生々しい思いが伝わります。

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曲作りはキーワードから

ジミンの「アルバムの中で一番気に入ってる、うまくいった歌詞は?」という質問に、RMは「Fly to my room」だと。自分が歌わないのが良かったと言います。

RM:常にあるジレンマが、僕はたくさん作詞をするじゃないですか。ところが作詞をしたら自分のラップパートで使う言葉がないんですよ。良いと思った言葉は全部すでに使っていて、ラップで話すべき事が残ってないんですよ。

(中略)

Life Goes On(の歌詞)が一番長くかかりました。1行をめぐってパンPDとメッセンジャーでやりとりして。特にVのパートの「終わりが見えない」から始まるBパートの部分は20パターンぐらい考えました。「ほどけない靴紐」なんていうのもありました。

確かに「終わりが見えない」より良い歌詞はあるんです。もっと迫るものとか。だけどこれが一番難しい。そのBパートだけで見ると良いんだけど、言葉が難解すぎて理解できないとか、前の歌詞とつなげるときも、絵がよく現れないといけない。

 

 ほぼ全曲作詞に参加しているウリリーダーお疲れ様です。そりゃそんなにするする歌詞が出てくるわけないよね…。

話題はジミンの自作曲 Christmas Loveへ。歌詞を手伝ってもらって何とかできた曲だとのこと。そこからメロディーや歌詞、曲作りの方法についての話になります。

 

JM:僕も曲作りをしながら、メロディーが先なのか、歌詞やコンセプトが先がいいのか、気になります。

RM:作詞作曲する人の永遠の宿題です。楽器をする人は、ピアノとかを弾きながら、ギターから、出てくる場合があるじゃないですか。僕も昔はビートを一生懸命つくったりしました。楽器がいいと、そこから何か出来るんじゃないかと思ったり。

だから楽器から始まったり、鼻歌から始まったり、歌詞から始まったり、(人によって)色々です。だけど僕にとってはキーワードや歌詞が先にある方がうまくいくみたいです。

(中略)

BTSの曲の場合は、自分のアルバムじゃなく、僕が参加するアルバムですよね。だからほかの人のアイデア、Telepathyや Dis-easeはユンギヒョンやホビのアイデアから始まっているから、元々が。だからそこに骨や肉だけつけていく。正直それが易しいしおもしろいんです。

ただ、これが実際には1か0なんです。

イデアが面白い、後は言葉だけ展開していけばいいとなる場合。アイデアが面白い場合は、あとはスプーンだけそっと置けば良い。テーブルがもう準備されてるから後はスプーンだけ乗せれば食卓が準備されるんだけど、共感できなかったり、気に入らなかったら「なぜそういう考えになるの?僕はそう思わないんだけど?」となる。元々が自分が考えたアイデアじゃないから

 RMの本質はリリシストなんでしょう。ここは次(予定)のSUGAと対照的で面白いです。最初から対照的だったのか、対照的な存在がそばにいたから、そっちの道を究めていったのか…は分かりませんが。
とにかくRMのスピーチやコメント聞くと、どれだけ言語能力(歌詞を練り上げる能力も、反射神経も)が高いんだ…と思いますよね。で、その言語能力にどう磨きをかけるのか、どう発想するのかという話が続きます。

あらゆることに言葉の網をかける

RM:あらゆることにレーダーを開けておく方です。いつも開けておくんです。小さい頃からそういう訓練をしてきたし、それが好きだったから。だからこうやって話しているときも、こうやって窓から日差しが入っている様子も、言葉や風景としてキャッチするレーダーが自然にあるんです。

もちろん魔法のように自然にということはそんなに多くはなくて。そういう言葉を積みあげておいたり、一番良いのは小説や映画で疑似体験。そこから始まることもあるんです。

JM:RMさんでも制作しながら詰まることがありますよね?そういうときはどうします?

RM:いつもそうですよ。そういうとき刻んでおくのは3Bという言葉です。Bus,Bath,Bed。ユーレカってありますよね。王冠の重さをどう量るかを考えて…というやつ。古典的な方法です。

作詞していて詰まったときに、狭い作業室のなかにいくらいたって、出てくるわけないんです。それで、武俠漫画で「天羅地網」というのがあるんですが、こう広げておく魔法。思考の網を広げておくんです。だけど作業室に座ってるだけだと、その(広げておいた)網が集まってこないんです。そういう時に3Bを使うんですが、人が一番インスピレーションを受けるのが移動中のバス、お風呂、それからベッド。

だからといって、そこで急に考えが浮かぶんじゃなくて、広げておいた網が、脳が少し休むことで急に整理されるんです。

 いや面白いなあ。日々の訓練とちょっとしたヒントですね~。

レーダーを開けておく、網を張る、張っておいた網を集める。このイメージ喚起力よ。

この後ジミンちゃんは「RMさんに言われて2時間歩いてみたことがあったけど、全然出てこなくて恨みました。でも方法が間違ってたんですね」と言ってました(笑)

 

ドライブソングを

残りのインタビューで興味深かったのは以下でしょうか。

 

JM:Life Goes Onは修正をすごくたくさんしましたよね。ミックスするときに一番大事にすることはありますか?

RM:正直ミックスについて語れる専門的な知識があるのは、ユンギヒョンぐらいで。何も知らないです。

LGOはリラックスした感じを出したくて。でもラジオプレイや放送では曲にはティッピングポイントがないといけないから。会社はラジオでぱっと耳に入るのがいいというのをよく言うので。でもこの曲は長く楽に聞いて欲しかったので、僕たちの意向と会社の意向との中間点を探したのがいまのトラックです。

 色々聞いていると会社との間での風通しの良さを感じますよね。仕事仲間にお互いにリスペクトがあるというか。

そして最後は今後の曲作りについて。ソロワークについて語っています。

RM:ジミンさんともジンさんとも一緒に曲をやってみたいし。2人と一緒にやってから30歳を迎えたくて。後で振り返って未熟だったとしても、いま出す方が良い。計算しても後では出ないものがあるから。

(中略)

個人的に制作中のものはあります。

JM:ジャンルは?

RM:(音楽を)長く歩いてきたので、…(ソロ曲は)当時の気持ちを集めた日記みたいなもの。mono.は自分当時に一番…劣等感や暗い感情を注いだ後で、いまはちょっと違うターンに入ってる。

それで最近はドライブ、自分は免許持ってないけど友達の車に乗るとき。ただドライブするときにかける曲が良くて。いままでそんな風に感じなかったんだけど、歌詞は聞こえなくてもすごく気分の良い瞬間をくれる。だからただ車で友達とドライブするときにピッタリな曲をつくってみたい。

 
コンプレックスや暗い感情を日記のように入れたというmono.は名盤ですよね。でも明るいターンに入ったただ気分の良いドライブソングを、という曲もぜひ聴いてみたいですね~。

 以上です。ジミンとのやりとりも面白い部分が多かったんですが、そこまで手が回らなかった(笑)。