こちらの動画の続きです。今回登場するのはMV監督のLumpens(ルンペンス)氏
http://lumpens.com/ と、Big Hitの音楽プロデューサー、Pdogg氏https://www.instagram.com/pdogg428/。MVの絵コンテや、PD二人が楽器店を回る映像も出てきて興味深いです。
KPOPの学術研究 (カリフォルニア大リバーサイド校)
ナレ:過去最近アメリカの大学ではKPOP文化を研究・講義する学科が増えている。
キム・ジョンウォン博士:韓国の女性KPOPファンダム文化、社会、政治的包括的な現象で韓国社会のなかで、社会・文化的な影響力を増してきました。
ナレ:この日発表された論文テーマはKPOP女性ファンダム文化。学問的な研究対象になるほどKPOPは影響力は大きくなっている。
デボラ・ウィン教授:KPOPはすでに韓国だけでなく、国際的な、超国家的な現象になりました。UCリバーサイド内でもKPOPを毎日何時間も聴いて好きな学部生たちがたくさんいます。これは一つのサブカルチャーですが、広範な影響力を持ったサブカルチャーだと言えるでしょう。
ナレ:国境を超え世界のファンたちの心をつかんだKPOPの魅力はいったいなんだろう。
キム博士:外国のファンたちは、どんなに英語がたくさん混じっていても、その歌の意味のようなことは全ては理解できません。だから彼らがKPOPを理解する一番簡単な方法としてはダンスを通じて音楽を聴き、どうやってダンスで再現するか、これなんです。
音楽も国境越える 新しい楽しみ方
パンPD:過去KPOPという用語が使われるようになったとき、映画関係者とこんな会話をしました。映画は字幕がつくから輸出が可能だけど、韓国語でできた歌は、言葉のバリアのために世界進出が難しいのではないか、そんなことを言われました。
しかし韓国語で歌うBTSとKPOPアーティストに熱狂する世界のファンを見て、音楽にも可能だということを実感しています。
かつてポップミュージックは大部分歌自体で消費されてきました。英語のように世界的に多くの人口が使う言葉でできた歌は、簡単に世界のファンの反応を得ることができますが、そのほかの韓国語のように少数だけが使う言葉でできた歌は、知られるのが難しかったんです。
しかし時代が変わりました。いま我々は超リンク時代を生きています。
インターネットを通じて全世界がリアルタイムで繫がり、人々はスマホでいつでもどこでも求める情報を得ることができます。
最近多くのファンたちの間では、こんな文化も流行ってるんです
20:20 (リアクション動画)
パンPD:アーティストのミュージックビデオ(MV)やパフォーマンスの映像を見ながら、ファン自身のリアクションを直接撮ってアップするリアクション映像というものです。BTSもとてもたくさんの曲のMVを見た有名ユーチューバーたちがリアクション動画を上げたことがきっかけになり、世界のファンたちの関心を集めたこともあります。
過去のファンたちが一方的な受け手の立場にあったとしたら、いまのファンはアーティストの成長を積極的に助けることができる助力者といっても過言ではありません。
BTSの音楽、そして現在様々なKPOPアイドルの音楽はそんなファンたちの複合的なニーズ、コミュニケーション方法と最も適したた音楽だと思います。KPOPは、デジタルネイティブであるファンたちと柔軟にやりとりするのに適したとても視覚的な音楽だからです。
しかし、KPOPの視覚的な特徴が、ダンスパフォーマンスにだけ限定されたものではありません。では代表的に視覚的な音楽をつくっている現場を一緒に見てみましょう。
ミュージックビデオ ルンペンス監督
ナレ:BTSはデビュー初めから新曲を発表するごとに話題になったのがまさにミュージックビデオだ。BTSのMVは数億ウォンの制作費を納入するほどアルバム制作で重要な部分を占めている。デビュー初期からBTSと仕事をしているルンペンス監督もMVの完成度に貢献した人物だ。
彼は2011年、国会議事堂にロボテコンVをテーマにプロジェクションマッピングを行い次世代アートディレクターとして注目を集めた。
パンPDはアート性を認められたルンペンス監督にいち早くラブコールを送り、BTSの10本のMVをつくった。
パンPDはMVに出てくる小物やセット一つ一つに神経を使った。MVを撮影する前の会議だけで数十回。二人とスタッフたちの激しい議論を繰り返した果てに一本のMVが生まれる。
ルンペンス監督とSpring Day
昨年発表した「Spring Day」のMVは映像美と意味あるメッセージで大きな評判となった
ル:汽車の扉を開けた時にわっと大きく見える最初の場面なんですが、そこに何か私たちのこのMVの補填する隠喩的な単語やメッセージがあれば良いのにと思ってたんです。その時パンPDが少し悩んで、「最近私が読んだ本があるんだけど、まさにこの話だ」と。
ナレ:MVのアイデアは、短編小説「オメラスを去る人々」(アーシュラ・K・ル=グウィン - Wikipedia)から始まった。小説の中の犠牲になった子供達を忘れず社会の弱者たちを慰め、彼らと共にいるというメッセージをこめた。
ル:MVに靴が出てくるんです。それはなんというか排除されたものや弱者。海辺でこの靴を拾って…、捨てられた靴ですよね、それを持って一緒に旅して最後に自分の場所に戻してあげるんですよ。
ナレ:2012年のPSYのカンナムスタイルはMVの影響力をよく見せてくれる。カンナムスタイルは面白い振り付けとコミカルな演出で話題を集め、全世界に歌手PSYの存在を知らせた。MVがアーティストの成功を左右する鍵になったのだ。
ル:最近はMVの影響力がとても大きいようです。新しいアルバムが出たときに一番最初に接するものがMVでしょう。音源と同時に。その歌手の活動の方向や今回のアルバムのコンセプト、伝えたいメッセージが一つにすべて入っているものですから。
見る音楽としてのKPOP
パンPD:MVは「見る音楽」の時代を開ける重要な要素として働きました。
KPOPアイドルは各自が持つコンセプトを大衆に伝えるために複合的な要素が同時に機能します。
魅力的なビジュアル、驚きのステージパフォーマンス、完成度の高いMV、グローバルトレンドを反映した音楽。
私はKPOPアイドルとは、このすべての要素が合わさったトータルパッケージだと考えています。
外国にもアイドルは存在します。格好いいMVで際立つアーティストも多いし、驚きのパフォーマンスを見せるスターたちもいました。マイケルジャクソン、マドンナ、ビヨンセまで世界の様々なポップスターを思い浮かべることができるでしょう。
しかしKPOPアイドルのように、このすべての要素たちが複合的に、また持続的に裏打ちされているケースはまれです。
私とBTSが共に悩み実践したきたのも、このすべての要素を、私たちができる限り最も完成度高く作り上げていくことでした。
私たちが以前作ったものよりもよりよい、もっと完成度の高いコンテンツをお見せするための旅程でした。
BTSの音楽
ナレ:ロサンゼルス中心街のの有名な楽器店。パンPDと共にBTSのPDを担当しているPdoggがここを訪れた。
あらゆる楽器から各種録音機器まで音楽作業に必要な大部分の装備がそろっている。
この楽器店はBTSにとって意味のある場所だ。アメリカで正規1集のアルバムを録音するときに、ここですべての装備を購入した。
Pdogg:あの時(2013年)は私たちが(LAの宿の)駐車場で録音のセッティングする装備を買ったんです。ケーブルに始まってマイク、台、スピーカーもここで買って。結構お金を使って買ったんですが、それでも確かに韓国よりは楽器が安いので。
ナレ:最初にアメリカに来た時た時も、今日のような成功は夢にも見なかった。
(車内)
パンPD:僕たちあの時、このアルバムダメだったらどうしようって。
Pdogg:そうですよ。
パンPD:本当に、誰かが少しでもいいと言えば「わー、良かった!」って
Pdogg:ソンドゥクが芝生の上に寝転んで「上手く行きそうだ」と言った時に、何だかほっとしたのを思い出します。
ナレ:久しぶりに会う嬉しい顔。第1集アルバムを録音したときに大きな助けをくれたスタジオの代表、エリックだ。
29:03(エコバ録音スタジオ ノースハリウッド)
パンPD:メンバーたちが疲れてここで寝て、Reality番組を撮影していた時で、みんな本当に疲れていた。タオルを敷いて寝て…
ナレ:ここでBTSの正規アルバム「Dark and Wild」が誕生した。劣悪な環境で助けが必要だったBTSにスタジオを心良く提供してくれたのがエリックだった。その縁がいまでも続いている。
(スタジオ、英語で)
パンPD:(当時)実際あの子たちが疲れてた時だったよ。未来は不透明だったし。僕達はBTSが成長してある程度ヒットすると思っていたけど、こんなに大成功するとは思ってなかったんだ。
エリック:PdoggとパンPDは最高じゃないと満足しません。成果が出るまでとにかく働きます。他の人が「これくらいで良いだろう」と言いそうなのに、「いや、もう一度合うまで」「完璧じゃないと」という考えで一生懸命やるんです。結局、成功は信念とそれだけの時間と努力を投資することでしょう。
トレンドの一歩先の音
30:38 レコード店
ナレ:パンPDが最も機敏に観察するのは、世界の音楽トレンドの動きだ。グローバル市場で成功するにはトレンドを読むことにとどまらず、一歩先を予測することが重要だ。
より新しく人々の耳を奪うことができる完成度の高い音楽。そんな音楽をつくるためには不断の努力が必要だ。
パンPD:南アフリカの音楽を沢山買った理由は、最近エスニックな方向の音楽が、アメリカのメーンストリームで反応が大きいんです。勉強するんです。買って勉強して。私の勘がガクッと鈍ったのでなければ、普通自分に刺さる音楽が次に流行る確率が高いと思いますし、南アフリカのダンスも流行ってますし。
ナレ:市場を先読みし、完成度の高い音楽を絶えず作ること。それがBTSの成功律だ。
31:45
パンPD:メンバーたちと私はトレンドに後れない、そしてさらにはトレンドを牽引する音楽にチャレンジしてきました。
Blood Sweat and Tears MV
パンPD:この曲はBTSのBlood,Sweat and Tearsという曲ですが、レゲエを基盤としたムーンバートン・トラップジャンルの曲です。最近ポップ音楽市場で愛されているダンスソウル、ムーンバートンなど最新のトレンドを積極的に反映させました。またDNAという曲では、既存歌謡の構成とは違い、サビのパートを果敢に目立たせんですが、最近のEDMの傾向に合わせてドロップパートで代替するチャレンジをしました。
アーティストとしてのBTSの独特で固有な色も重要ですが、それが固まってしまわないで、音楽的にさらに進化し成長しようとすれば、やはり、多様な融合を試し、新しいものにチャレンジしないといけないと考えます。
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残りあと15分!
③に続きます