はちみつと焼酎

BTS 방탄소년단/SUGA. 日本語訳など

ファンサイン会での「下着検査」事件 「K-POPの女性ファンの低い人権は金になる」

n.news.naver.com

コラムニストのチェ・イサクさんが、「下着検査」事件に関連して所属事務所であるHYBE、またKPOP業界について批判する記事を掲載しています。

★事件のあらましはこちら。

「スキャンでなく触って突いた」…グループ&Teamのファンサイン会で下着検査が物議に | Joongang Ilbo | 中央日報

★Weverse Shop の謝罪文はこちら。

【全文】HYBE、「&TEAM」ファンサイン会…下着検査論難に謝罪「改善案準備」│韓国音楽K-POP│wowKorea(ワウコリア)

 

★★★★★ここからチェ・イサクさんのコラムの訳。パパゴ+α★★★

K-POP女性ファンの低い人権は金になる」

アイドルのファンサイン会の下着検査は
セキュリティによるハプニングではない

K-POPはファンの生き方と考え方に
多大な影響を及ぼす
暴力のトラウマで、時には侮蔑感で

ハイブ所属の新人アイドルグループ、&TEAMのファンサイン会で先日、セキュリティを理由に女性ファンの「下着検査」が行われ問題になった。 アイドルファンを相手にした暴力は、これまでも知られているかどうかに関わらず多かったが、今回の事件が特にKポップのファンダム全体を爆発させ問題化したのは、その暴力が発芽した「雰囲気」の共感のためだ。

 

私がその雰囲気を骨の髄まで感じたのはなんと23年前のことだ。 New Jeansの全メンバーが生まれる前。

当時、私は1世代アイドルの熱烈な中学生ファンだった。 ある日、彼らが出演する音楽番組を見るために市外バスに乗ってソウルに行った。 放送局の前で一日中待って入場カットラインに入ってわくわくする気持ちで録画を待っていると、何の説明も予兆もなく、警護員に胸ぐらをつかまれ外に引きずられた。

その男の鳥肌が立つほど強い手と、突然首が締め付けられる状況でもがいた瞬間の焦り、生まれて初めて経験した無差別な暴力の中で感じた恐怖と屈辱感は、歳月がずいぶん経った今でも脳裏に鮮明に刻まれている。 頭の中では教科書で学んだ「天賦人権」のフレーズが浮かんでいたが、抗議できなかった。

怖かったから。 元々そういう雰囲気だから。

 

事件が起きた日、「下着検査」という衝撃的なキーワードがツイッターのリアルタイムトレンドに上がったのを見て、23年前のその日が痛みのように浮び上がった。 特に性認知に対する感受性の高いMZ世代のファンが、強圧的な身体検査に応じるしかなかったという事実に、その雰囲気が作ったもう一人の被害者として、侮蔑されたと感じたりもした。

 

この事件に対してKポップファンは、明らかなセクハラであり法的処罰が必要だと声を高めたが、所属事務所はセクハラはなかったと一蹴し、セキュリティを理由に施行された「ボディーチェック(Body check)」であるため正当だったという形の謝罪にもならない謝罪文を発表した。

セクハラが「ボディーチェック」なら、胸ぐらをつかむのは「フリーハグ(Free hug)」か?

明らかに発生した事件を「気のせい」に、強圧的な身体検査を受けながら感じたファンの恐怖と侮辱感をなかったこととして扱うのは、典型的な2次加害の手法だ。

Kポップが前途有望な未来産業として崇められ、企画会社の建物がバベルの塔のように高くなる間、ファンへの待遇はアイドル音楽が「ダンス歌謡」の下位ジャンルと見なされていた時代から根本的に良くなるどころかさらに後退した。

 

第1世代アイドルの女性ファンは、「やれという勉強はせず、低級文化に染まった啓導すべき」家父長制の娘として差別を受けた。

第4世代アイドルが産業の主流になった現在は、ファンの年齢層が全世代に広がり、ジャンルの地位が比較できないほど高まったにもかかわらず差別される。 女性ファンの低い人権がお金になるからだ。

 

アイドルファンサイン会下着検査事件は、セキュリティのために起きたハプニングではない。 Kポップ産業が極度に資本化され肥大化した規模に合わせて、さらに多くのお金によだれを垂らし、ファンと歌手との間の人間的な交流の一つだった領域にまで、無差別に有料化される過程で起きた弊害だ。

 

似たような事例として、購読型コミュニケーションサービスのBubble、Weverse DMなどが一般化されているが、購読料だけを取りながら、内容は責任を負わないためにファンの恨みを買っている。

対面で行われるコンサートとファンミーティングの価格はパンデミック以前の1.5倍にまで急騰し「背筋ブレーカー」と呼ばれている。

ファンサイン会はアルバムをたくさん買った順に当選のカットラインを決める販促方式で、より多くの売上を得ようとする所属事務所と、アイドルを近くで見たいファンの利害が一致する和気あいあいとした客の感動祭りだった。 しかし、パンデミックでオフライン行事が開催されない間、ファンダム間の初動(発売後1週間の販売量)競争を煽ることが販促の中心となり、国家機密扱いでもあるかのような「セキュリティ」を理由にして、下着検査までするほど厳重で一方的な雰囲気で行われている。

Kポップはこのようにお金を稼ぐ。 政治的発言権の低い女性ファンの権利と幸福を黙殺し、株主だけに大きく腕を広げたまま。

 

1970年代、あるロックバンドのツアーの軌跡を扱った映画「あの頃ペニー・レインと」(2000)には「ロックンロールは生きていく方法であり考え方だ」として音楽の可能性に感嘆するシーンが出てくる。

ジャンルは違うが、Kポップもファンの生き方と考え方に影響を及ぼす。 時には暴力のトラウマによって、時には侮蔑感によって。

 

チェ・イサク(Kポップコラムニスト)