はちみつと焼酎

BTS 방탄소년단/SUGA. 日本語訳など

K-POPの選択的警備/ チェ・イサクさんコラム日本語訳

こちらのコラムの訳です。

筆者はKPOPコラムニストのチェ・イサクさん @isakchoi312

 


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私は中学生の時, 音楽番組の視聴者の入場を待っている ボディーガードに胸ぐらをつかまれたことがある。 その時のトラウマなのか、30代後半になった今でも警備員を見ると、体と心が萎縮する。 出勤準備は10分で済むが、Kポップファンが集まるオフラインイベントに行く時は、念入りに服を選んでアイロンをかけて着こんで、一つしかないブランドバッグを持ったりもする。 舐められまいという俗物的な自救策だ。


こんな私に昨年、驚くべき事件が起きた。 BTS SUGAのコンサートで警備員がファンに拍手される姿を見たのだ。

猛暑注意報が出された蒸し暑い夏の日だった。 自然の摂理に観客の熱気まで加わり、冷房をかけても会場の中が蒸し暑かった。 その中で警備員と安全要員が一糸乱れずスタンディングエリアの観客に水を配り、気分が悪くなったと訴える人たちを支えて休憩エリアに導いた。 その姿に少し戸惑う気持ちで拍手を送った。 ファンを制圧するのではなく、保護の対象として扱う警備員の姿が新鮮だったからだ。 


SUGAのコンサートは、公演場であるKSPOドーム前のハンドボール競技場を貸し切って待機エリアとして提供したほど、観客の安全と便宜のために慎重に計画し、投資したイベントだった。 そのような条件では警備員の姿が変わる可能性があるということを、初めて知った。

 

最近、Kポップアイドルの警備員による、ファンへの暴力問題が多くの批判を受けている。 ファンサイン会でセキュリティを理由にファンの下着検査をした事件、空港でファンを押し倒したことが昨年相次いで問題視され、Kポップのイメージを悪化させた。 今やKポップを連想すれば、体格的優位を持つ男性警備員が、女性が多数のファンを脅かす絵が思い浮かぶ。 恥ずかしくて残念なことだ。 しかし、皮肉なことに2023年はKポップ産業が異例の規模でセキュリティーに投資し始めた年だった。

 

現実と大衆の認識が異なる理由は、Kポップ産業が警備の対象に、小規模なファンと接触する現場を除外したためだ。

現在、Kポップ産業は大規模な観衆が密集する有料コンサートに限って選択的に警備をしている。 梨泰院惨事で安全に対する社会的警戒心が高まり、コンサート産業が成長し、観客の総合的な満足に注意を傾けるようになったためだ。 チョ・ヨンピル、IU、BTS、イム・ヨンウンのような超大型歌手だけでなく、2023年を基点にKポップコンサート全体のセキュリティー体制のレベルが高まった。

 

私はKSPOドームから徒歩10分の距離に住んでいる。 私の趣味は週末にコンサート会場をうろつくことだ。

不審尋問をする警察のように、観客の入場が円滑に進むのか、休憩空間にヒーターが設置された場合、横に消火器がよく置かれているのかなどを調べる。 随時チケッティングに挑戦してコンサートもたくさん見る。 内部でもごっこ遊びは続く。 セキュリティーにこだわっているからではなく、驚くべき速度で発展しているからだ。

セキュリティーにはシステムと資源が必要だということをコンサート会場の前をうろうろしながら毎回悟る。 しかし、Kポップ産業の選択的警備という方針の下、大衆の目につかない現場では、安全の責任が警備員一人一人の性格と判断に任されている。 ファン対象の暴力問題が絶えない根本的な理由だ。

 

ファンを見下して安全に優劣をつけてきたKポップ産業の錯覚が、高価な請求書として戻ってきている。

経済学者ヘルマン・ジーモンは著書『利益とは何か?』で」(利益とは)企業が履行すべきすべての義務を果たした上で残る残存金額」と定義した。 利益には義務がある。 義務を果たすことは利益になる。

警備員が殴るのではないかと心配するファンがいる限り、Kポップが数百億ウォンのマーケティング費用をかけて具現しようとする幻想的でクールな生き方、多様性と自己肯定の価値は、欺瞞と矛盾と見なされるだろう。