はちみつと焼酎

BTS 방탄소년단/SUGA. 日本語訳など

BIGISSUE Korea JK編の後記/日本語訳

isakchoi.postype.com

 

こちらのチェ・イサクさんのコラム後記の訳です。

元コラムの訳はこちら。

honeysoju7.hatenablog.com

【後記】BTS ジョングクは天才ではない

「私の黄金のような人、あなたを愛している」

 メンバーの個人について書くときは、すでに見た映像をそのメンバーだけに集中してもう一度見るのです。繰り返し見れば何かが浮かぶものです。 ソクジンは「走れ」料理のエピソードで、ナムジュンは2019年のグラミー賞「オールドタウンロード(Seoul town road remix)」のパフォーマンスで、そしてJKは「ARMY万商店」でした。 「特に上手なこと」を問う質問に「特にない」と答え、「自信のあること」には「声」と答える場面が出てきますが、そこに私はあまりにも自然に「ジョンククは本当に謙虚だな」と思いました。 ジョンククがの声はもちろん、自信があるものに値しますが、ジョンククが生まれ持ったと思う多くのものの中で、一番謙虚な答えを見つけたと勝手に考えたのです。

そして、不意に気がつくようになりました。ジョンククは一様に、自分がまだまだ足りなくて、体が壊れるほど努力しなければならないと言ってきましたが、私がその言葉に耳を傾けて聞いていないということを。ジョンククは何でも上手だから、そうやって生まれたんだから、自分に少しでも寛大になってほしいと一人で思い、ジョングクの自分との戦いを、一度も心から応援してあげたことがないということに気づきました。

そして原稿を準備しながら、 すでに何回か読んだジョングクの インタビューをもう一度読みました。 インタビュアーたちも同じことを聞いていました。 「自分に対して少し寛大でもいいですよね?」 ジョングクの答えはいつも固いものでした。 「いいえ」。世間の人々が皆ジョングクに『お前は黄金の末っ子だから、できないことがないから休み休みしてもいい』と言うと考えると、私がジョングクだったら、時々寂しくて悲しかっただろうという気がするんです。 私たち全員が完璧に対する基準が違うじゃないですか。 ジョングクの完璧さについての基準は、 「もっと高い」のではなく「違う」ものだと思うことにしました。

その時、「私の黄金のような人よ、あなたを愛してる」という文章が浮かびました。 普通、文章を書く時は最初の段落を完成して次に進むのですが、今回のコラムは"私の黄金のような人よ、あなたを愛している"という最後の文章に進むための旅程でした。 多くの人がこの文章を読んで泣きそうになったと言ってくれましたが、実は私がこの文章を書いて本当に泣いたんです。

「生き残るために、チームの成功のためにジョンククは早く大人にならなければならなかった」

メンバー個人について書く時は、メンバーの自作曲や ソロ曲など、個人がもう少し現れる曲を プレイリストにして聞きました。 でもジョングクは、メインボーカルなのでBTSの活動曲の プレイリストをもう一つ作って聞きました。 長い出退勤の途中で「No more dream」から 「Permission to dance」までずっと聞きました。 そしてデビューしたての赤ちゃんのような顔で歌った17歳から、全世界のスタジアムツアーをするアーティストになった現在まで、曲でのジョングクのパワーは一定だと思うようになりました。

ご存知のように、BTSのラッパーたちはとても強烈ですよね。 声量や音色を問わず、素直に自分自身を盛り込んだ歌詞でラップをするため、特別なコアがあります。 ヒップホップ色が強かったデビュー初期には、 社会批判的な歌詞を書いたので さらに強烈でした。 ラップが曲の中心だったので、ボーカルはお飾りになったり振り回されたりしやすいのに、鹿のような瞳をして美声で歌う17歳の少年が、そのラップの勢いに押されてないと考えるようになったんです。 これはもちろん、ディレクションをうまくやったからでもありますが、ディレクションによって存在感を作り上げることはできません。

これがどうやってできたのだろうか?ジョンククが歌が上手で、おおらかな性格だからだと思いますが、若いからといって大目に見てくれる人のいないプロの世界で育ったからだと思います。 これは悲しむことではないと思います。 幼いと大目に見てくれなかったということは、幼いながらも尊重されたという意味だからです。

ジョンククは、近しい人に愛と尊重をたっぷり受け育った人特有の純粋さと親しみがありますね。 韓国の男性組織には軍隊式序列文化があるので、若い人に些細な用事をさせたり、幼いと何も分からない扱いをして無視することが、空気のように当然のこととされますが、ジョンククは一つの男性組織の中で、しかもまだ若い男性の組織の中で成長したのに、その序列文化が内在化されていないんです。

「兄さんたちが愛で育てたジョングク」のあの「愛」は私たちが予想したよりもっと巨大で深いだろうと思いました。 そしてジョングクを「育てる」過程がBTSの 家族的なチームワークにも大きく貢献したと 思います。

「彼を見るとなんだか、 空の星を取ってあげたい気持ちのようなものがあふれる」

今回のコラムは、いろいろな理由で書きにくかったです。まず、ソクジンとナムジュンは、「私のアイドル」ではなく、文の主人公として他者化して距離を置いて考えることができました。 多くの理由がありますが、最大の理由は、ソクジンとナムジュンが様々な発言をしてきたからです。今の考え、変化について。 だから、その客観的な根拠の間で一貫性を探して、そこに私の考えを編みこんで文を書くことができました。

でもジョングクは、 「走れ!バンタン」のようなBTS内のコンテンツ以外では 口数がとても少ないです。 メディアのインタビューでも、「私が書くプロフィール」でも似たような話をします。 ジョングクの言語は「音楽、ARMY、BTS、舞台、情熱」 この5つに分類されると思います。私はジョングクの言語を 「禁欲的」と表現したいです。 その5つと自分を同期させておいて他のことには目を向けていないように見えます。 それらに集中するために人生の残りの部分をとても単純に設計した人生を生きていると思います。

ジョングクのタトゥーを見ても、 そういう面を把握できると思います。 私はジョングクのように巨大なシンボルで タトゥーをした人を見たことがありません。 手の甲にはARMYがあり、片腕いっぱいに誕生花、マイク、目、花様年華、"Rather bead than cool(情熱なしに生きるより死んだ方がいい)"、"Winners never quit and quitters never win(勝者は絶対止めず、やめた人は絶対勝てない)" など、誓いの「言葉」がびっしりと描かれています。 それも右腕です。 ジョングクは、ARMYと書かれた手の甲を見ながら 毎日ご飯を食べて、運動をして マイクを握ります。 死ぬまで歌うという彼の夢は、単なる夢ではなく存在の究極です。とても神聖な。

このように、ジョングクは口数は少ないですが、表現は誰よりも多い人です。 だからジョングクについて書くためには、私が感じてる 私の中のジョングクを取り出して 文字にしなければなりませんでした。 ところで、ジョングクがよく食べる姿を見ると嬉しくて、のり巻きを作ってあげたいし、スイカの一番よく熟した部分だけを切ってあげたいこの気持ちを、どうやって文章で表現すればいいか分からなかったんです。

長い間、一文字も書けないでいたのに、"なぜか彼の悲しみは自分のもののように痛い"という文章が浮かびました。 それを皮切りに、すごくゆっくりと1文ずつ加えて、やっと文を終えました。 締め切りを4回も破りました。 多くの方々が共感するとおっしゃってくれましたが、私は文章を終えるのに汲々としていてジョングクの魅力を十分に込められなくてとても惜しくて残念です。